嗚呼!米国駐在員。
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2005年03月28日(月) リベート(Mail In Rebate)の落とし穴

アメリカではメイルイン・リベート(Mail-in rebate)というシステムがある。
主に電気製品などを買いに行くと、価格の横にこの宣伝文句が目につく。

アメリカに来てまもなく、BEST BUYという何のサービスも期待できない全米チェーンの大手家電ショップに向かいテレビを買った。

定価700ドルのSONYのテレビ。価格表には US$650.- (Rebate US$50.-)と書いてある。
リベート? まあ、メーカー値引きってやつか、と思い、てっきり650ドルと思ってレジに向かった。ところが請求は700ドル+taxであり、レジの兄ちゃんに文句を言った。

「価格表に650ドルって書いてあったぞ。」
「あれはリベート後の値段。郵便で必要書類を送ればチェックがもらえますから」

兄ちゃんは丁寧だったけど、このシステムそのものの意味がさっぱり分からなかった。そんな面倒くさい事させるなら、最初から値引きしろや。
確かに日本なら、「○%ディスカウント」とか表示されるのだが、アメリカではこのように面倒くさい表示をする事で、客は安い買い物をしたと思ってしまう。

つまり店頭だけでは値引きは受けられないのだ。

領収書と必要書類をもらって、その中にメイルイン・リベートに関係する必要事項を記入し、指定された住所に期限内に送らなければならない。テレビの時は、箱のバーコード(それもいくつもある中の1つ)も、所定の場所にはりつけて領収書と共に送れ、と書いてあった。これを怠ると何ももらえず、結果的に高い買い物をしたことになってしまう。(ちなみに箱のバーコードを切り取りさせるのは、返品をさせない為だ)

非常に落とし穴の多いシステムだ。アメリカでは何故かこんなシステムが一般化している。

さて、そのようにして送っておくと、(うまくいけば)忘れた頃、約3〜4ヵ月後に小切手が送られてくるという訳だ。何でこんなややこしい方法をしてるかと言うと、ややこしくすることでメーカやお店がお金を返さなくて済むから。
消費者にとっては実に面倒なので、必ず一定割合の客は用紙を送ってこないし、送ってきても書類不備でチェックを払わなくても済む。
もちろんメーカーは、「あなたはこの書類とこの書類が不足していましたのでリベートは支払いできません。再申請してください。」などという返信の手紙は絶対に絶対に出さない。単に黙って何も送らないだけだ。

確かに日本のように店頭ディスカウントをすれば、確実にその場で値引きになるが、このシステムは顧客が用紙を送ってこなければその分は販売者の利益になるという訳。当然、顧客が米国在住していなければリベートは得られない。旅行者は駄目。更に、販売者は郵送された書類から顧客情報も入手する事ができるのだ。


アメリカで生活するには、だまされないで賢く立ち回らないと、結局高い買い物をすることになってしまうから気が抜けない。

自分は日本人だからこんなシステムをややこしく感じているかと思っていたが、今日の新聞では「顧客はリベートシステムに疲れきっている」という記事が出ていたのでなんとなく一安心。

ついでに新聞に載っていた「リベートゲームの勝ち方」を抜粋。

1.商品を買う前に、まずはリベート期限以内かどうか確認せよ。
2.必要事項を丁寧に記入せよ。
3.リベート申請用の書類、レシート等、要求された書類が全て揃っているか。(リベートの書類は店で言わないと貰えないこともある)
4.郵送前に全ての書類をコピーせよ。
メーカーに、書類が届いていない、といわれた時の場合に備えよ。
5.あとはひたすら、チェックが送られてくるのを、待て、待て、待て。


ちなみに、テレビのリベート50ドルはチェックが無事に送られてきた。その他、携帯電話は送ってこなかったので、しつこく電話をしたら送ってきた。嘘か本当か分からないけど、「郵便が届いていませんよ」といわれるケースが多いので、コピーは必須である。

ゲームに「勝った」時は、結構うれしかった。


Kyosuke