嗚呼!米国駐在員。
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2005年01月14日(金) 引継ぎのない米企業 /引退してフロリダへ行く社長

取引先の人から、会社を辞めるというメールが入った。それも別々の会社、2件から。

1件目は製造会社の社長。出社が今日が最後で、奥さんとフロリダへ移って悠々自適の生活を送るんだと。年齢は見たところ50歳前だから、見事なセミリタイアだ。 後継者は弟、と連絡があったけど、彼の事は見たことも聞いた事もない。

2件目は、直接の関わりがなかったけど、あるプロジェクトの責任者。こちらの窓口であったマネジャーも突然の上司の退職発表に驚いており、誰が引継ぎするかも何も決まっていないと言っていた。こちらも、時間をかけて話してきた案件が彼の退職で決裁者がいなくなり、全て頓挫してしまったので打撃が多い。なにやら、他の会社を買収してそこの社長になるんだと。

これらの連絡を受けて、個人主義だなあ、と思った。

組織主義、団体主義が浸透している日本では、何かヤバイ以外で突然の退職なんてないだろうし、退職や転勤があれば事前に余裕を持って引き継ぎする人を決める。そして、その旨、取引先には報告をする。海外駐在員だって、それは例外ではない。自分もアメリカに来て右も左も分からないまま、引継ぎ挨拶と称して前任者に全米各地の取引先を連れまわされた。

それにしても、奥さんとフロリダに移る社長は、どんな気分なのだろうか。
そんな話しはしたことがないけど、おそらく昔から決めていたに違いない。それを目標に今まで頑張ってきたのだろう。そして、会社も好調で業績を伸ばしているこの時期に、と決断したのだろう。早くカネをためて暖かい場所で夫婦のんびりして暮らしたい、なんていう理想論はよく聞くけど、実際に働き盛りでそれを実行した人は、自分の周りで初めてのことだ。確かに、身体も動かなくなる定年を迎えてからでは、気分も違うだろうし。

いくらカネがあっても仕事から離れることはなかなか出来ることじゃない。庶民にとっては、まさに夢のような話だ。


Kyosuke