嗚呼!米国駐在員。
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朝起きたら大雪。アメリカの天気予報はほとんど当たるんだなあ。 こんな日に限って飛行機で出張が入っているのは不運だが、これも仕事仕事。余裕をもってかなり早めに家を出る。ラジオのニュースでは、大雪で今日は小学校は休み、今朝の飛行機は400便が既にキャンセルになった、と気分が滅入るようなニュースを伝えていた。道路に出れば普段はがらがらの道が車で一杯、全く動かない。案の定、はるか前方で追突事故を起こしている。明らかに路面状態が悪いのに、普段と同じような運転をするバカアメリカ人があまりにも多い。そんなバカは迷惑をかけるだけなので、こんな日は黙って家で寝ていて欲しいのである。
おかげで、15分でつくはずの目的地が1時間以上もかかってしまった。 そして空港では案の定、キャンセルを食らった客でごったがえしている。チケット片手に、振り替え便はいつになるんだ、と怒鳴るオヤジ。こんな日はろくな事がない、自分のフライトもひそかにキャンセルになっている事を祈ったのだが、そうはいかなかった。セキュリティのゲートまで行くと、カウンターと違ってうってかわってガラガラ。こりゃラッキー、と思っていると、係員がこちらのゲートで、と自分を連れて行く。「なんで?」と聞くと、チケットに記された見慣れない記号を指差した。航空会社がランダムで客をピックアップして、その客は手荷物全てに検査を受けなけりゃならん、その客に見事に選ばれたんだと。やれやれである。
他のレーンは誰もいないのに、そのレーンだけは大混雑。 たまたま前には日本人6人連れ。パスポートを持っているのですぐに分かった。係員があれこれ質問をするのだけど、英語が分からないらしく何を聞かれても愛想笑い。久しぶりに見る日本人の意味の無い笑いも不気味だったけど、自分もアメリカに来た当初はそうだったんだろう。こちらは一刻も早くゲートへ向かってのんびりしたいのだが、黒人の係員もチンタラチンタラ人のカバンから全ての荷物をほじくりだして検査してやがる。後ろの白人のおばちゃんは、「It's Not Funny!!」と叫んでいたけど、状況は変わらない。あせっても何も変わらない、こうしたときはひたすら待つしかないのである。
ようやく飛行機に乗り込む。外は雪が降り続ける。そのうちに疲れて眠り込んでしまった。 ふと気がつくと、1時間経過しており到着予定時間。 ああ、到着か、と思って外を見たら、既に飛行機は到着していた。ラッキーラッキーと思ってよく見ると、なんとまだ出発していなかった。はあ〜。
目的地のデトロイトもクソ寒い大雪。レンタカーのバスまでの数十メートルが厳しかった。 雪道を慎重に車を運転して取引先へ。新年だしと思って、アメリカ人の好きなダンキンドーナツを手土産に。「12個分、適当に詰め合わせて」と店員のお姉ちゃんに頼むと、見事に高いものばかり詰めやがる。まあいいけど。 で、会計。
「US$5.15.-です。」えっ、たった5ドル?そんな訳ないだろう、と思いながらもそそくさと会計を済ませた。実にいい加減である。客の黒人が、お前のあの車はなんていう車だ?調子はどうだ?とペラペラと話しかけてくるが、こちらも急いでいたので適当にあしらってしまった。
客先とのミーティングを終えると、もう車が雪に埋もれていてどうにもならない。 かろうじてガラスの雪を取ってホテルへ向かうが、帰宅ラッシュも重なって大渋滞だ。こりゃ晩飯どうするかな?と思ったけど、チェックインしてから雪の中に出て行くのも面倒なので、選択肢のない中、SUBWAYに入る。
店員は、かわいらしい移民系の女の子。 店に入った瞬間、こちらをじっと見て「How are you doing?」。返事として、普段は「Good!」だけで終わらすのだが、ついつい「How about you?」と聞いてしまった。またまたこちらをじっと見てにっこりと、「I am Fine!」と答えるのも実にかわいい。サンドイッチを作ってもらいながら、「おいしいかしら?ちょっと量多かったかな」と言ってくるので、「このくらいの方が好きだから問題ないよ。」と答えると、「私が作ったんだから、きっとおいしいわよ。」と言ってきた。ワタクシ、大喜びです(←オヤジ)。お世辞にもサンドイッチは見た目がうまそうでもなかったのだけど、やっぱり料理は心。アメリカではこんなサービスを受けるのは珍しいことだ。まあ、疲れた1日。これくらいの事がなくちゃやってられん。
こうして今日もまた1日が終わる。明日もまた予報は大雪だ。 少なくとも12インチ、約30センチまで積もるらしい。帰りのフライトがキャンセルにならない事をひたすら祈るのみなんだけど。どうなることやら・・・。
Kyosuke
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