嗚呼!米国駐在員。
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2004年02月20日(金) |
セールスコールをかける |
今日も仕事では波風はなし。 1月があまりに大波の連続だったので、刺激がないといえばないのだが(勝手ですな)。
余裕があって気が向いたのでセールスコール(いわゆる飛込み電話)をかける。これでも営業マンなので。 といってももちろん一般家庭が相手ではなく、我々が扱いたいもの(主として日本からの輸入になるが)に興味を持ちそうな会社に連絡をする。コンタクトする会社名は独自のノウハウに隠された方法で探す、訳もなく、まあ本当に飛び込みですな。 商社の営業たるもの、既存商売のお守りよりもいかに多くの新規ビジネスを構築するかが勝負、とは思うのだが、まさに言うは易しなんだな、これが。 赴任した当初は本当に大変だった。ドキドキして代表電話にかけて受付らしい女性が出てきても、もうどうやって担当につないでもらうかが分からない。何を言えばいいかも分からなければ、何を言ってるのかも分からない。言うべき事をメモに書いて電話しても、違う事を言われるとまさにとんちんかんな会話となる、最悪でしたな。たとえ、なんとか購買担当に繋がったとしても、彼等からすればろくに会話も出来ない日本人と商談をしたいはずもなく、よく電話を切られたものだ。切られないにしても、もうなにやらまくし立てられて、どなられて、訳も分からずThank Youと言ってこちらから電話切ったり。また、回りがアメリカ人スタッフばかりの事務所の中で、こんなやり取りを聞かれるのが本当に恥ずかしかった。 思えば日本にいた時も、中国人やインド人のセールスマンが片言の日本語で電話をしてきて(また忙しい時に限ってかかってくるんだよな)、こっちはまともに相手にもしなかったから、まさに逆の立場だという事か。 おまけにアメリカの企業は、内線番号をかけて繋がる個人ボイスメール(留守電)が主流だから、そうなるともう全く担当にたどりつけない。たどたどしくメッセージを入れても、まず電話なんかかかってこない。
とはいえ、場数をこなすと慣れるもの。 今日コンタクトした会社は、代表にかけると、ボイスメールにつなぐので話したい担当者の内線番号を押せ、というので、適当に3桁の番号を押す。呼び出し音で待つ間に、フレンドリーなオッサン出ろ、と念じる。出てきたおっさんはフレンドリーではなかったが丁寧な人。「こちらは購買の内線と聞いたのですが」と言うと、俺は設計でお前の会社なんか知らないけども購買ならこの番号にかけてみな、とまずは内線を得る。そして教えてもらった内線にかけるのだけど、購買にも色々あるので、「営業のMIKEの紹介であなたの名前を聞いた。こんなものの購買担当はあなたですか」という。もちろんMIKEなんて知らないが、言われた方もしょっちゅう人が変わる米系企業のしかも他部門の担当者なんか分かりゃしない。MIKEなんてどこにでもある名前だし、紹介されたと言われた以上は断れないのか、何らかの話をしてくれる。そしてようやくKEY PERSONにたどりつく。たまたま今回はこちらの話に興味を持ってくれて、もっと話が聞きたい、なんて事につながったので非常にLUCKYだった。
ここまでする必要があるのか、とも思うのだが、もう全く手探りで当たる場合はこうでもしなければ本当に途中で切られて止まってしまう。といっても、こんな御時世でうまく行く事なんて、何百とかけて数回位か。こうなるとまさにゲーム感覚でやるしかないな。ははは。
数十年前に海外駐在したお偉いなんかが、昔はセールスコールで簡単に仕事を取ったがお前達はなかなか苦労しとるのお(←だったらお前がかけてみろよ、とは言えないけども)なんてよく言うのだが、日本モノと言えば黙っても売れた時代はとっくに過去のもの。 それに現在の情報社会じゃこんなやり方さえも非効率的なのは事実かもしれない。でも、砂浜に埋もれたダイヤモンドを探すには、やはり地道な努力しかないのである。
Kyosuke
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