+++ Rip Stick +++

2001年10月14日(日) 回想日記「変化する心と愛情」



それからは、いつもいつも「いつ別れを切り出そう」
とばかり考えていた。


そんな時、彼があたしにこう言った。

「新しいバンドを組む時にお前が言ってくれた一言が何よりも嬉しかった。」

はっとした。

あたしはずっと「何を求められてるのか」ばかりが気になっていた。
彼があたしに何を求めていて、どうして欲しいのか
そしてあたしはそれに応えられてるのか、そればかり考えていた。
それが愛情のバロメーターだとばかり思っていた。

だからいつも不安だった。

けれど変哲の無い彼の一言で、あたしが「出来る事」は何であるか判った気がした。
大切なのは「何を求められているか」でなくて「何が出来るか」



音楽の理解者になろうとは思わない。彼には素晴らしいメンバーが居るから。
スポンサーになろうとも思わない。あんな彼でも自分にプライドを持っているから。

あたしは、彼がどうにも弱くなってしまった時に、
安心してくつろげる居場所になりたかったんだ。
ずっと一緒に居たかったんだ。


あたしは、別れたくなんか無かったんだ。




其処から、彼が新しい道を進む様になるまで
あたしの記憶はあまり残っていない。
それは、この日常を当たり前の様に受け止められる様になったからかも知れない。
今は、会えなかった時間に起こった出来事や自分の変化を彼に話す時間が
とても居心地が良い。
つたなくて下らないあたしの話を、一生懸命聞いて同調や意見をしてくれる
そんな彼がとても大事に思う。
2人で恋愛をしてると実感出来る。


彼は「今の状況を作ったのはお前の力だよ」と言う。
けれどあたしは、その発端を作ったのは彼だと思ってる。

兎に角、あの電話が無ければあたし達はもう一度惹き合う事も無かったから。





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