取材で桐蔭学園高へ。 秋の関東大会ベスト8で東海大望洋に敗れた桐蔭学園。センバツは非常に、微妙な立場にいます。これから行われる神宮大会で、帝京か東海大相模が優勝すれば、選出の可能性はグッと高まるでしょうが。 「守りを見てくれれば…」と、首脳陣。 地区大会、県大会、関東大会通じて、失策はわずかに3つ。県大会準々決勝(準決勝かな?)以降は、失策ゼロです。ショートの吉澤を中心に、本当によく鍛えられています。 「守り重視」で選出することの多いセンバツ。どこまで評価されるでしょうか。
この代は、「谷間の代」といわれており、「20年間で一番弱い!」という声もあったほど。その声に奮起して、チームがひとつにまとまり、関東ベスト8までたどりつきました。 「負けはしたけど、ここまで本当によく戦ってくれた」と土屋監督。 秋の県大会初戦では横浜高校に1回裏7点を失う展開も、2回表に9点を奪い返し、逆転勝ち。相洋戦も、9回裏に逆転サヨナラ勝ち。準々決勝の横浜商大戦は、初回に5失点も、これまた逆転勝ち。何か、目に見えない強さを持っているチームです。
新チーム以降の試合では、わずか2敗しかしていません。練習試合は全勝。負けたのは相模と望洋のみ。奇しくも、東海系列の学校ですが。最近、なぜだか、タテジマに弱い桐蔭…。
キャプテンの荒谷、背番号12で左キラーとして「打」で活躍した井上は、ともに桐蔭学園中出身。中学時代から、よく知っている選手だけに思い入れもあります。彼らが中学3年の12月、中学野球の指導者が集まる愛知トレーニング交歓会で講師を務めたのが桐蔭学園中の大川和正先生。「手本」と形で、大川先生と一緒に愛知に来たのが荒谷と井上でした。
荒谷は、中学に続いて、高校でもキャプテンに。 「自分がやりたい、引っ張りたいと思っていた」と就任当時を振り返っていました。 井上は、中学では内野手も、高校ではキャッチャーに。今年の春、能間の取材に行ったとき、ブルペンに井上がいてビックリしたのを覚えています。「ぼく、キャッチャーになったんですよ」と、人懐っこそうな笑顔で話しかけてくれました。
本日、井上は肉離れの治療のため病院へ。東海大望洋戦で代打ヒットを打ちましたが、とても走れる状況ではなかったそうです。 久々に見た井上は、精悍な顔になっていました。男前。まじめで明るくて、「あいつが打つとチームが盛り上がる」と、首脳陣の評。桐蔭学園中入学時は、トップに近い成績で合格した頭の持ち主でもあります。
エース番号を背負う石垣は、横浜市立港南中の出身。同じ港南区出身のぼくとしては、ぜひとも頑張ってほしい選手のひとり。 秋の県大会、準決勝・決勝で連投してきた一二三に刺激を受けて、県大会後に投げ込みをしたところ、肩を痛めてしまい、関東大会は痛み止めの注射を打ってのマウンドでした。水戸桜ノ牧戦はほぼ完璧な投球も、東海大望洋戦は2回途中で降板。「情けないです…」。一方の一二三は、関東大会4試合すべて完投勝利。 「ぼくが勝手にライバル視しているんですけど、同じ世代であれだけのピッチャーがいる。絶対に負けたくありません」
守備、攻撃は全国でも十分戦える力を持っています。あと、カギを握るのは投手陣。野手に専念していた若林を再び投手に戻し、「競わせるよ」と土屋監督。ひと冬越えて誰が出てくるでしょうか。
取材後は、横のグラウンドで練習していた桐蔭学園中にお邪魔してきました。声をからしながら、中学生の気持ちに火をつけるような檄を送る大川先生。この秋は、横浜市大会初戦で鴨居中に敗れています。ここから、どう巻き返していくか。
練習の終わりころに、高校の練習に参加していた中学3年生3人が登場。「終わりました」とあいさつに来ました。 中高一貫校は、中3の部活動が終わったあと、高校の練習に参加することができます。何年前から始まったかはわかりませんが、このメリットは非常に大きいと思っています。さすがにバッティングやノックには入らないようですが、トレーニングを一緒にできることは大きい。ほかの新1年生よりも、4か月ほど早く、高校野球の空気に触れ、高校生と一緒に野球ができるわけですからね。
桐蔭学園中と並ぶ強豪・高知中では、3年夏が終わったあと、陸上部や相撲部で足腰を鍛えたあと、冬から高知高校の練習に参加する流れがあります。これもまたおもしろい。 この秋、中学は県大会準優勝で、四国大会出場。2位以内に入れば、来春の全国大会出場が決まります。 高校のほうは秋の高知を制し、四国大会準優勝。センバツを確定的なものにしています。いまの高校1年生は、夏の全日本少年で全国制覇した期待の代。当時3番を打っていた亀井のバッティングセンスが光っていましたが、高校でも3番レギュラーでハイアベレージ。キャッチャーで主将の山崎は、外野に転向し、こちらもレギュラーとして出場中です。
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