2008年10月12日(日) |
駿台学園創部初の秋ベスト8進出 |
★秋季東京都大会2回戦 創価高校 011001000|3 駿台学園 00003002/|5
この秋、初めてブロック大会を勝ち抜き、本大会出場を遂げた駿台学園。本大会では初戦で夏の準優勝・東海大高輪台を下すと、この日の2回戦では伝統校の創価に競り勝ち、創部初のベストエイト入りを果たした。
メンバー表を見てみると、ベンチ入り20人中13人が、駿台学園中の卒業生である。この日のスタメンには、6人の卒業生が出場していた。 ・3失点完投勝利の右アンダースロー・小林諒祐(2年) ・4番キャプテン・キャッチャーの後藤善基(2年) ・5回に同点タイムリーを放った、2番ショートの平賀達稀(2年) ・6番ファーストの小海宏勇(2年) ・決勝タイムリーを含む3安打のセカンド鈴木琢也(1年) ・8番ライトの志村祥太(1年)
駿台学園中は、後藤たちが入学したときから、中学野球部の強化を始めた。それが、2004年のこと。その年の秋にはオール1年生で北区優勝。翌春には東京都ベスト8に進んだ。そして、最上級生となった2年秋には都大会を制覇した。 その後も、06春に都大会ベスト8、07秋には都大会ベスト4、08春に都大会ベスト8と、着実に結果を残している。
チームを率いるのは川口将司先生。聖学院〜国際武道大出身の32歳(TOKIOの山口似のイケメン)。大学卒業後、駿台学園高のコーチを務めたあと、中学の監督に就任した。細かな指導が特徴で、特に守備、走塁に関してはきっちりと仕上げてくる。
現在のエース小林は、中学3年春に、川口先生の勧めによって、オーバースローからサイドスローに転向した。その後、「もっと腕を下げたほうがいいかな」と、夏前に自ら、アンダースローに挑んだ。 じつは小林、中学時代は3番手ピッチャー。当時の駿台学園中には「2本柱」がいたのだ。しかし、2人は他県の私立に進み、小林だけが残る形となった。 小林は高校に入学してから、成長した。アンダースローを自分のものとし、夏の都大会では帝京を6回途中まで1失点に抑える好投を見せた。この秋も試合を重ねるごとに成長。最速は119キロだが、そんなことは関係なし。変化球をまじえ、ときにはストレートでインコースをえぐり、勝利を引き寄せている。 この日は、プロ注目の創価・大島を4打数ノーヒット。第1打席では、インコースの真っ直ぐで空振り三振を奪い、ガッツポーズを見せた。
チームの精神的支柱がキャプテン後藤。メガネをかけたナイスキャラ。いかにもキャッチャーという雰囲気を持っている。 「正直、小林がこんなにいいピッチャーになるとは思っていなかったです。いまはリードしていて、楽しい」 中学時代を知るだけに、信じられないという思いだ。 「でも、一番努力して、一番走っているのがアイツなので。やってくれると思っていました」とも。この秋で5年目の付き合い。お互いのことはよく分かっている。今日も、18.44メートルの間で、何度も頷きあっていた。
高校を率いているのは、伊奈学園(埼玉)で甲子園出場経験を持ち、その後、東大の監督を務めた三角裕監督。野球好きなら、ピンと来る名前だろう。 今年の春から、駿台学園のコーチ的な立場となり、夏には部長としてベンチ入り。新チームから、正式に監督に就任した。「今日は5点勝負になる」と読んでいた三角監督。まさにその予想どおりとなった。
駿台学園はそれまで、埼玉の浦和にあるグラウンドを借りて練習していたが、移動時間がもったいないということで、それをやめた。学校での練習切り替えた。が、グラウンドはものすごく狭いうえに、他部との共用。基本的に、野球は内野しか使えない。フリーバッティングができないため、1つしかない鳥かごを、時間制で使っている。 「グラウンドが狭くなった分、効率よく練習ができるようになった気がします」と後藤。いまある環境の中でできることを、しっかりと積み重ねている。
次の相手は、夏に敗れた帝京。 夏に先発した小林は「夏は、試合前から『コールドになるんじゃないか』と不安があったけど、通用する部分もあった。あの試合で自信を得たことも多い」と語っていた。 三角監督は「そんなに甘くはないですけど…、今日と同じように5点勝負。5点取らないと勝てないでしょう」。 さぁ、どんな戦いになるか。
|