みのるの「野球日記」
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2006年03月29日(水) 1死二塁、投手ゴロ(横浜vs八重山商工) コメント追加

★センバツ甲子園 2回戦

横浜高 001600000|7
八重山 000001050|6

 8回裏1アウト二塁で、横浜はピッチャーを川角から浦川にスイッチ。この時点で得点は7−6と横浜がわずか1点リードだった。
 浦川は9番奥平に痛烈な当たりを打たれるが、うまくさばいて投手ゴロ。ここで二塁ランナーの大嶺が飛び出してしまう。
 ここから、試合後に渡辺監督が言った「あのプレーが大きかった。練習していた通りのプレーができた。これで80%勝てるかなと思った」というビックプレーが生まれる。

 ボールの動きをポジションの数字で追うと、こうなる。Tは走者へのタッチを表し、アウトが成立した意味だ。カッコ内の塁は、捕球した塁を指す。
 1(打球処理)→5(三塁)→6(二塁)→1(三塁)→4T(二塁)→2(三塁)→4T(二塁)

 正直、1→5→6→1と渡っていた挟殺プレーを見て、「ヘタクソだなぁ…」と思った。誰も、間合いを詰めてこない。マジメにランナーを追っていたのは、最初に浦川から送球を受けたサードの古城だけだ。
 ここで二走の大嶺を本気で殺しにいくなら、次にボールをもらう高濱が、走者との間合いを詰めてくるのがセオリー。前に出ながら、ボールを受ければ、それだけタッチがしやすくなる。このとき、走者とのすれ違いが一番怖いが、大嶺の動きを見る限り、そこまでの走塁センスはないと思った。

 渡辺監督は「練習どおりのプレー」と言っていたが、どこからが練習どおりのプレーなんだろうか。1→5とボールを送球した時点で、「打者走者をセカンドベースで殺して、そのあとに二塁走者を殺す」なんてシナリオがあったのだろうか? 多分、それはリスクが高すぎるので、無いとは思うが…。小倉コーチのことだから分からない…。

 1→5→6、とボールを受けたショートの高濱が、走者をほとんど追わず、すぐに三塁ベースに入っていた浦川に投げた。「投げるのはやいよ!」とテレビ画面に突っ込んだが、これもすべて計算どおり?
 そして、ボールを受けた浦川が、二塁に走りこんできた奥平の姿を見て、絶妙のタイミングで二塁ベースへ送球。ベース上にいたセカンド白井が奥平にタッチし、見事にアウト。そのあとは、挟殺プレーで大嶺もアウト。ダブルプレーが完成した。

 セオリーであれば、白井が二塁ベース上にいることはまずない。二塁走者だけを殺しにいくのであれば、二塁ベースをあけてでも、間合いを詰めたいところ。それでも、二塁ベース上にいたということは、打者走者が二塁に走ってきていると分かった時点で、頭を「二人殺す!」に切り替えたのだろうか。

 明日の神奈川新聞あたりに記事が載っているかもしれないが、どの時点で「二人殺す」に切り替えたのか、かなり興味がある。
 そもそも、二人殺すには、三塁側の選手がボールを持っていないとキツイ。でなければ、二塁に走ってくる打者走者が見えないからだ。そうなると、すぐにボールを浦川に投げた高濱も、「二人殺す」という狙いがすでにあったのだろう(多分)。

 と、書きながら、思い出したことが一つ。
 2月下旬に東海大学のキャンプを見に行った際、「1アウト二塁で投手ゴロ。二塁ランナーが飛び出したと想定して、ここから二塁ランナーを挟殺プレーでアウト。二塁に走りこんできた打者走者も(できれば)アウトにする」というプレーをひたすら繰り返していた。
 今日の横浜の状況と似ているようだが、やや違う。横浜は、打者走者→二塁走者の順でアウトにした。東海大の場合は二塁走者→打者走者の順だ。

 どっちが高度なプレーなんだろうか?
 そんな疑問も浮かぶが、それはさておき…、東海大はこんなやり方でダブルプレーを狙っていた。
 さきほどと同じようにボールの動きをポジションで表すと、
 1(打球処理)→5(三塁)→6T(二塁)→4T(二塁)

 説明すると、投手がサードへ投げて、サードは二塁ベース前(三塁寄り)にいるショートに投げる。このとき、ショートは走者との間合いを詰めるようにして捕球し、一気にダッシュしてタッチ。そして、振り向きざま、二塁ベースへ送球し、二塁を狙っていた打者走者を刺す、というプレーだ。
 ちなみに、二塁走者を殺しにいくショートは素手でボールを持っていた。ランナーの背中に素手でタッチにいく。一緒に見ていた中学校の先生たちは、「中学生なら、確実にグローブでタッチさせる」との意見で一致。素手の場合は、何かの拍子で落とすリスクがある。ただ、素手で持っていることで、次のプレーには移りやすい。グローブでタッチをすると、グローブからボールを取り出す動きが入ってしまう。確実に二塁走者を殺すなら、これでもOKなのだろうが。

 東海大の練習を見ていると、ダブルプレーが取れた確率はそれほど高くなかった印象がある。二塁走者をアウトにする1→5→6の挟殺で、ポンポンポンというリズムでミスなく、スピーディーに殺せなければ、打者走者までをアウトにするのは難しい。
 で、ふと思ったのは、打者走者は何秒で二塁にまで到達するのかということ。これが分かっていれば、二塁走者に対する挟殺プレーも、「●秒で終わらせれば、ダブルがとれる」という目安になるのでは?…なんてことを思った。

 なお、今日の横浜―八重山商工の場合、打者の奥平がボールを打ってから、二塁アウトになるまで約10秒だった。塁間が5秒というのはちょっと遅いので、おそらく一塁を回ったときに若干の躊躇があったのか、と想像する(実際に見ていないので、何とも言えませんが)。
 これが大学生クラスなら、何秒だろうか? 塁間4.5秒の選手であれば…、二塁到達まで約9秒。ボールがバットに当たってから、ピッチャーへゴロがいくまでが約1秒、ピッチャーがサードへ送球して約1秒とすると、二塁走者に対する挟殺は最低でも6秒のうちにはアウトにしたい(ショートからセカンドへの送球に約1秒欲しいので)。
 と、書いておきながら、この6秒が難しいのか優しいのかは分かりません(笑)。

 以上、今日の横浜の挟殺プレーを見て、いろいろと思ったことを書いてみました。

 しかし、高濱のショートは危ない…。最後の打球はやや弾んでいたからよかったけど、低いゴロに対する処理がうまくない。本来であれば、ショート白井、サード高濱がベストで秋はこの布陣だった。白井が肩を痛めていて、試合ごとに痛み止めの注射を打ち、テーピングがちがちで出場していた。それもあって、長い距離のスローイングが要求されるショートは負担が大きいのだろう。

 横浜は2番古城の渋さが光る。硬式出身者が多い横浜において、この古城と高濱が軟式野球部出身だ。古城は綾瀬市立春日台中の出身。大振りが目立つ横浜打線において、いかにも小倉コーチが好きそうな二番タイプ。振り幅を小さくして、コンパクトに振りぬいてくる。繋ぎ役として、今や横浜打線に欠かせない存在だ。

***

 翌日の神奈川新聞に期待どおり、8回裏の挟殺プレーについてコメントがありました。神奈川新聞ありがとう! 
 コメントを抜粋すると、

●ピッチャー浦川「(ゴロを)捕った瞬間、併殺だと思った」
●サード古城「(二走)を殺さないようにしながら」ゆっくり走者を追い
●ショート高濱「(打者走者は)目の端に入っていたが、併殺狙いが分からないように二走に専念しているように見せた」

 いやはや、浦川がサードに投げた時点で、併殺を狙っていたんですね。恐れ入りました…。
 


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