2006年02月10日(金) |
『マダックス スタイル』 |
昨春、『アメリカ野球小僧』で慶応義塾の上田誠監督を取材した際、「『マダックス スタイル』(ザ・マサダ刊)という本が面白いよ」と教えてもらった。 そして、夏頃にアマゾンで購入したのが、なかなか読む時間と機会がなく…、このたび、ようやく読破しました(2時間もあれば読破できます)。
タイトルにある「マダックス」とは、アトランタブレーブスのグレッグ・マダックスのこと。著書は、ブレーブスのピッチングコーチ、レオ・マゾーニー氏(今季からオリオールズのピッチングコーチに)。マダックスのほか、トム・グラビン、ジョン・スモルツら、ブレーブスで数々の名投手を育てあげてきた名ピッチングコーチだ。
上田さんからは「内容は理論というよりは、ピッチャーの考え方などが中心」と聞いていたが、まさにその通り。細かい指導方法はほとんど明かされていない。…明かされていないのが、これがすべてなのかは分からないが…。
本の中で印象に残ったのは、「スピードガンなどゴミ箱に捨ててしまえ!」と言い放っているところ。
「あのバカげたシロモノがはびこるせいで、派手な数字が出ないという理由から数多くの若くて優れたピッチャーたちが見過ごされているのだ。……、私はスピードガンが示す数字などまったく気にしない。見るべきポイントは、ピッチャーの動作とそれに対する打者の反応だけである」
スピードガンにとっては、ヒドイいわれようである(笑)。 日本の指導者も「スピードガンの数字は気にするな!」と盛んに言ってはいるが、投げている本人はどうしても気になってしまう。取材陣も「スピードは?」と聞いてしまうし…。 そういえば、昨夏までの慶応のエース中林は、「うちのスピードガンは倉庫かどっかに眠っているんじゃないですか」と言っていた。 でも、見る側からすればスピードガンは、やっぱり、あれば便利。ひとつの目安となる。とくに中学軟式野球の場合、ストレートが120キロ後半も出るようであれば、まず間違いなくピッチャーとしての素質あり。まぁ、めったにお目にかかれませんが…。
『マダックス スタイル』にはピッチャーの調整法についても書かれていた。というより、調整法が本の最初に書かれていたので、これこそがレオ・マゾーニー氏の投手指導法の肝なのかも?
たとえば、トム・グラビンの場合、 日曜 先発 月曜 キャッチボール 火曜 ブルペンで投球練習 水曜 ブルペンで投球練習 木曜 キャッチボール 金曜 先発
このような流れで、中4日のローテを守っていたそうだ。 「登板の間でも、必ずボールを握る」というのがマゾーニー氏の考え方で、野球関係者からは批判も多かったとか。さらに、火曜、水曜にはブルペンにも入る。これにも賛否両論あったようだ。 なお、火曜、水曜のブルペンは、<70%の力で10〜15分間投げる>というのが基本的な約束事。「1球1球のフィーリングとタッチを確認すればいい」とのこと。著書には「タッチ」という言葉が結構出てくるのが、日本的な言葉では俗に言われる「指先感覚」に近いのだろう。 どうしても、「ピッチャーが投げる」となると、100%の力でビュンビュン投げるイメージがあるが、70%の力でOK。10〜15分間と時間で区切るのもアメリカらしい。
著書の中で、ひとつ「?」と思い、ピンとこなかった箇所が変化球の投げ方について。 小見出しには<スロー&ターン投法で鋭く変化させろ>と書いてある。
「投げる動きがほとんど終わる瞬間にボールにスピンをかける。そして最後に肘を引く。ここで体の内側へ向かって肘を素早く引きつけることで、腕の筋肉が伸びすぎないようにできるのだ」
「この投げ方にはバリエーションがある。投げたあとの腕を伸ばせば伸ばすほど変化は小さくなり、肘を強く引けば引くほどボールの曲がりは大きくなるのだ。肘を伸ばし加減にして変化の小さいボールを投げればスライダーと呼ばれ、逆に肘を引くことでスピン量を増やせばカーブとみなされるわけである」
う〜ん…「肘を引く」という言葉のイメージがつかめない。肘を自分の体に、寄せてくるイメージでいいのだろうか。何せ、文字だらけで写真が少ないのです…。 イメージが分かった先生…、今度取材に伺ったとき、実演してください!
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