2005年04月09日(土) |
川崎北・佐相眞澄先生 高校野球デビュー戦飾る! |
■4月9日 春季神奈川県大会1回戦 桐蔭学園グラウンド 茅ヶ崎 000 000 001|1 川崎北 010 000 01/ |2
相模原市立新町中、大沢中、東林中と率いる中学校で次々と実績を残してきた佐相眞澄先生。センバツ優勝投手の筑川利希也(東海大相模―東海大―ホンダ)、清原尚志(桐光学園―東農大)ら甲子園球児も多数輩出してきた。 日体大在学当時から、「高校の指導者になりたい」と抱いていた夢がこの4月に実現し、神奈川県立川崎北高校野球部の監督に就任した。 中学野球の指導者としての引退試合は3月29日の金沢交歓会。珠洲市立緑丘中、刈谷市立刈谷東中と対戦した。試合後には長年しのぎを削ってきた緑丘中・山岸昭彦先生、刈谷東中・木野昌孝先生から花束を、そして東林中の選手からは涙の胴上げをプレゼントされた。
4月2日〜3日。川崎北高校は茨城遠征に出かけた。佐相先生ももちろん同行。まだ名前も分からぬ状態だが…。移動のバスの中では、東林中時代に出したバッティング指導のビデオを選手に見せた。食い入るように見ていたそうだ。「川崎北の子は、野球小僧ばかりだよ。食い付くように話を聞いてくれる」というメールも入ってきた。
遠征が終わった翌日。佐相先生は選手と一緒になって、バッティングゲージを作った。川崎北のグラウンドは狭く、放課後はフリーバッティングがほとんどできない。そんな状態を改善しようとしたのだ。 ゲージを作った、といっても、溶接したわけではない。外野へ飛ぶ打球はすべてネットにかかるように工夫したとのこと。それにより、3箇所のバッティングゲージが完成。朝練からバッティング練習ができるようになった。 高校に移る前に、「高校行ったらまず何をするんですか?」と聞いたところ、佐相先生は「バッティングができる環境を作りたい」と話していた。赴任して10日と経たないうちに、早くも実現した。
9日開幕予定の県大会(ブロック大会を勝ち抜いた90校が参加)まで、とにかく打ち込んだ。 「ストレートを打てる力はあったので、変化球への対応を指導した」と佐相先生。 6日に行われた抽選の結果、初戦の相手はストレートとスライダーが武器の茅ヶ崎・佐野。スライダー対策にも時間を割いた。 佐相先生が「外角が苦手」と判断した選手には、外角打ちのポイントを伝授。「高目が苦手」と見えた選手には、高目の打ち方を指導した。
そして迎えた今日の高校野球デビュー戦。 初得点は意外にもスクイズだった。2回裏、1アウト一三塁でスクイズを敢行。「三塁エンドランやらないかなぁ」と見ていたが、さすがに硬式では難しいようだ。7回裏にもスクイズを仕掛けたが、これは投手正面に転がり失敗。手堅い攻めに少々驚いた…。
打線は「好投手」の呼び声もあった佐野から7安打。3番4番で6安打を稼いだが、それ以外は力負けしていたのが現状だった。ここからどのようにバッティングレベルを上げていくか、ある意味楽しみだ。
試合後の佐相先生は、「高校野球は楽しいなぁ〜」と感慨深げに一言。その理由は「ヒットが出るから」だそうだ(笑)。簡単にヒットが出るし、逆に簡単に長打を打たれる。当たり前だが、中学野球とは違う。といっても、今日の2−1というスコアは中学野球っぽかったが。そして、何と、川崎北はライトゴロを食らった。「高校まできて、ライトゴロを見るとは思わなかったよ!」とは佐相先生のお言葉。
今日は学校に8時に集合し、2時間打ち込んできたという。今までの川崎北にはなかったことだそうだ。また、これまでは試合場所に電車で移動していたが、この日は保護者にお願いして、車を出してもらったという。「親にも協力してもらって、親、選手、監督が三位一体となって強くしていきたい。この考えは中学も高校も一緒だよ」と佐相先生はいう。
この日、4番として4打数4安打のコウノ主将は、「指導が細かくて驚いた。野球をほんとによく知ってる先生」と佐相先生の印象を話す。バッティングについては、「選手ひとりひとりに課題を与えてくれて、その課題がクリアできればまた次の課題が与えられる」。指導の基本スタンスは東林中時代と変わっていない。 明日は伝統校・武相との一戦。近年低迷気味の武相だが、今年のチームは評判がいい。昨秋は桐光学園に2−4の接戦を演じている。なお、武相を率いる松尾先生は、元武相中学校野球部の監督。東林中とは県大会で何度か対戦したことがあるそうで、東林中の負けなしだったとか。 選手の力からすると、武相有利の声が多いが…。どうなるでしょうか。ちなみに今日も、茅ヶ崎の下馬評の方が高かった。
武相に勝てば、センバツ出場校の慶應と対戦。コウノ主将に聞くと、「慶應と戦うこと」が今大会の目標という。「慶應に勝つ!」とまで言い切っていなかったところが、いまの川崎北高校…。
赴任してから約1週間。佐相先生は「選手の特徴が徐々にわかってきた。遠慮もなくなって、怒れるようにもなってきた」と笑う(でも、主将は「自分はまだちょっと遠慮してます」と苦笑いを浮かべていた…)。
スタンドには東林中卒業生の保護者の姿もあった。「中学野球の名将が高校野球へ挑戦」ということで神奈川新聞も取材に。佐相先生もプレッシャーを感じていたようで「勝ててよかったぁ」と安堵の表情を浮かべていたのが印象的だった。
というわけで、まずは初勝利おめでとうございました!
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