2005年02月02日(水) |
慶應義塾野球部を支える主務 〜小関亮太〜 |
「小関、わりぃ、コーヒー持ってきてくれる?」 「小関、あの資料ある?」 上田誠監督のさまざまなリクエストに、いつも淡々と応えているのが小関亮太主務だ。 慶應義塾野球部には「主務」と呼ばれる立場の学生がいる。今年の主務は2年生の小関。慶應義塾普通部出身で、もともとはピッチャー志望で入部してきた。しかし、ちょうど1年前、上田監督からの「やってくれないか。お前しかいないんだ、頼む」というラブコールで、選手から主務(このときは副務)に転向した。
「上田さんに言われたのが、去年の2月の終わり頃。上田さんが頼ってくれているから、『やろうかな』と思ったんですけど、迷いはありました。ピッチャーとしてやりたいなぁ、という未練があったので。でも今は主務になってよかったと思っています。間違いなくベンチに入れますから(笑)」 昨秋の大会から、ベンチで学生服を着て、スコアを書いている。印象的だったのが、準決勝の横浜戦に勝ったとき。上田監督、赤松衡樹副部長と、ベンチ前で抱き合っていた。試合中はいつもクールに無表情に(?)スコアをつけていたので、そのギャップにびっくりした。
七條義夫部長は言う。 「小関の仕事は誰もができる仕事ではない。小関の代わりはいないんです」 選手として続ける未練が全くなかったわけではない。伝統のユニホームを纏い、グラウンドでプレーすることに憧れて入部した野球部。それでも、いま「主務」になった小関はこう話す。 「部員69人の中で主務はぼくひとり。主務としての想い出はぼくにしか残らない。チームの勝利の想い出と、ひとりでやっていた主務の想い出が残れば嬉しい。主務はやりがいのある仕事です」 3月23日開幕のセンバツ甲子園。小関は主務として、ベンチ入りを果たす。
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