2004年02月21日(土) |
ランナー三塁エンドラン(3) |
軟式野球独特の戦法で、硬式野球では使われないと言われている三塁エンドラン。しかし、現在桐蔭学園中の野球部を率いる大川和正先生は、現役時代を振り返りこう話す。 「夏の大会前、木本さんが三塁エンドランの練習を取り入れたんです。木本さんも佐相先生(東林中)と一緒で、川崎市水道局の試合を見て、三塁エンドランは面白いと思ったそうですよ」 大川先生は桐蔭学園高で77年から79年まで、木本さんの野球を学んだ。木本さんとは、1971年に桐蔭学園高で全国制覇を果たし、85年には藤嶺藤沢高を初の甲子園に導いた神奈川の名将・木本芳雄さんである。藤嶺藤沢を指導したあとは、母校武相高の監督に就き、昨秋惜しまれつつ現場から退いた。
昨秋退任された時の神奈川新聞の記事を読むと、木本さんについて、<エースの力量と相手打者のスイングを考え、外野シフトを考える戦術でも先駆者である。しかし、勝負を決するスクイズは好まなかった。大胆さと繊細さが同居した>と書かれている。三塁エンドランを採用することに躊躇がなかったように思える。中学野球の先生にも言えることだが、スクイズが嫌いな指導者は、三塁エンドランを好む。
「練習で何回も繰り返して、練習試合でも試しました。でも、うまくいかなかったんです。結局、夏の予選では一度も使いませんでしたね」 大川先生の話しによれば、三塁エンドランは公式戦では使えなかった。やはり、軟式よりもはるかに切れる変化球、スピードのあるストレート、そして弾まない硬式ボール。リスクの高い戦法だったのかもしれない。
だが、どうしても1点が欲しいとき、スクイズしか手持ちのカードがなければ、それもまた苦しい。高校野球の場でも、できることなら三塁エンドランを使いたい。木本さん以外にも、そう考える監督がいる。 昨秋の神奈川県大会で準優勝を果たした、藤嶺藤沢高の山田晃生監督は、秋の大会に秘策を持って乗り込んできていた。
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*以前、三塁エンドランについて書いたところ、何人かの指導者の方から情報を頂きました。ありがとうございます。読者の方の情報をまだまだお待ちしておりますので、どうぞよろしくお願いします。
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