みのるの「野球日記」
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2004年02月04日(水) 1割5分2厘

 センバツ出場校の記録をボーッと眺めていたら、ある数字に目が止まった。中国・四国地区代表・鳴門工業(徳島)のチーム打率である。打撃優位といわれる近年の高校野球では考えられない……1割5分2厘という数字が飛び込んできた。

 どんな勝ち上がりをしてきたのだろうか。昨秋の公式戦の結果を調べてみると、これは驚き。何と、1−0というスコアが3試合もあったのだ。中学軟式野球なら、珍しいことでもないが、高校野球で1−0とは……。

・徳島大会2回戦 ○5−2 川島
・徳島大会3回戦 ○1−0 阿波
・徳島大会準々決 ○5−1 富岡西
・徳島大会準決勝 ○1−0 生光学園
・徳島大会決 勝 ○1−0 徳島商
・四国大会2回戦 ○4−3 高知商
・四国大会準決勝 ○7−6 八幡浜
・四国大会決 勝 ●3−10 済美 
 
 上記の記録を見れば分かるように、県大会で1−0の試合が3度。7勝のうち、1点差勝ちが5試合もある。普通、センバツに出てくるようなチームなら県大会の序盤で大勝もあるのだが、鳴門工にはない。チーム打率、1割5分2厘が示すように、公立高校相手にも5点が精一杯だった。

 でも、逆に考えれば1割台の打率でセンバツまでくるのはある意味すごいこと。相当守りがしっかりしているのだろう、と思えばじつはそうでもない。8試合で14失策、無失策試合も1試合だけと、普通のレベルである。

 となると、やはりピッチャーか。調べてみると、エース左腕の田中が8試合で64回3分の1を投げている。1−0の完封もすべて田中が投げぬいた試合だ。で、この田中が化け物かといえば、ダルビッシュや須田のように、雑誌で特集されるほどの投手でもない。記録を載せると、
 64 1/3回 36被安打 36奪三振 
 32四死球 18失点 10自責 防御率1.40

 新聞記事によれば、左腕独特の大きなカーブが武器とのこと。打たせてとるピッチングが持ち味のようだ。四死球も2イニングに1個の割合なので、ズバ抜けて制球力があるというわけでもなさそうだ。

 ほかの記録を見ていると、圧倒的に目立つのが犠打の数。8試合でチーム犠打が41個。1試合平均5個の割合である。これは多いでしょう、かなり。となると、犠打や足など小技を使いながら1点をもぎとるのかといえば、そうでもない。盗塁は何とゼロなのだ。チーム打率の低さにも驚いたが、盗塁ゼロにはもっと驚いた。比較的戦いやすい県立高校との試合の場合、必ずといっていいほど盗塁を稼げる試合があるもの。県大会の序盤でもそういう試合がなかったということか。

 ちなみに1番打者から犠打の数を並べると、<4・6・7・4・6・2・4・4・4>となる。クリーンアップで17もの犠打がある。すごい野球…。
 個別に打率を見ていくと、4番の濱田だけが打率3割以上を記録し、4割3分3厘の高打率。ほかの8人をみると、2割台が2人、1割台が4人、0割台が2人となっている。

 正直、記録だけを見ると、よく四国大会準優勝になったと思う。でも、不思議なことに、一番大事な四国大会の準決勝で、公式戦最多得点の7点を奪っている。

 『ホームラン』で鳴門工の記事を拾ってみると、興味深いことが載っていた。
<クリーンアップにもカウント1−2からセオリーに反してでも「待て」のサインを出す。高橋監督は「待つと案外勝手に崩れてくれる投手が多いんですよ」>
 
 ふ〜ん、と思い四死球の数を調べてみると、チーム全体で42四死球。相手投手の制球力の問題もあるので何ともいえないが、1試合平均にすると4四死球となる。1−2から「待て」のサインは、どうなんでしょう…と思うところもあるが、四死球を選ぶことを考えると、結果的にはうまくいっていたようだ。
 

 鳴門工って、じつは個人的にすごく不思議に思うチームのひとつなんです。飛びぬけた選手がいないのに、甲子園では勝つんですよね。2年前、丸山(現日大)がいたときにセンバツ準優勝になりましたが、あのときも正直「何で決勝まできたの?」と思ってしまいました。昨年も、平野擁する桐蔭学園に勝利するなどベスト8に。何ででしょう…。鳴門工といえば、メンタルトレーニングが有名ですが、その効果が見えない力として発揮されているのでしょうか。

 チーム打率1割5分2厘のチームが、センバツでどんな試合をするか、非常に興味深いところです。ちなみに過去3年のセンバツをみると、チーム打率1割台のチームは1校も出場していません。それ以前のデータがないのが残念なんですが、1割台のチームの出場は何年ぶりになるんでしょうか。あ、もちろん、今回の鳴門工の打率は出場32校中、もっとも低い数字です。

<過去3年チーム打率最下位校の成績>
01年 姫路工 打率.286 2回戦 ●5−8 日大三
02年 松江北 打率.284 1回戦 ●3−5 福井商
03年 柏 崎  打率.258 1回戦 ●1−2 斑鳩


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