「ローリングスから新しいバットが出るよ。知ってる?」 ここ数週間、中学校の先生と顔を合わせると、ローリングスの「飛ぶバット」が話題になることが多かった。 先生方の話をまとめると・・・、 ・ビヨンドマックスと似ているらしい ・ビヨンドマックスより重いらしい ・ビヨンドマックスより飛ぶらしい などなど…。 『ビヨンドマックス』とは、昨年秋にミズノから発売され、今年の秋まで3万3000本を売り出している超人気のバットだ。バットは5000本売れればヒット商品といわれているらしく、それを考えると3万3000本は異常。スポーツ用品店では品切れが相次いだ。
ビヨンドマックスの特長は、打球部(芯)の柔らかさにある。手で触っても変形するほどの柔らかい素材(*高反発素材:エーテル系発泡ポリウレタン)を使用しており、指で押し込むと、数ミリへこむ。今までのバットでは有り得ない構造だ。軟式ボールは素材がゴムで中空構造のため、非常に柔らかく、バッティング時に大きな変形を起こし(ボールが潰れる)、遠くへ飛ばすことが難しい。ビヨンドマックスは、この変形を極力抑えるために開発された。柔らかいもの同士がぶつかれば、変形も少なくなるという理論で、ミズノの実験データでは、従来の金属バットより、8%も反発係数がアップした。
昨年の秋の時点では、品薄状態が続き、ビヨンドマックスを持っているチームと持っていないチームがあったが、今年に入り、ほぼ全チームが使っているといっても言い過ぎではないほどになっている。 効果はというと…。大学生以上の大人の世界では、得点や安打にはっきりとした差が出ているようだが、中学野球ではそこまでの差は出ていない。ただし、見ている限りでは、外野の頭を越す長打や、内野の間を低く強いゴロで抜く打球は確実に増えた。 ビヨンドマックスの登場でもっとも変わったのが、外野の守備位置だ。上のレベルにいけば行くほど、硬式の定位置に近い位置で守るようになったため、良い意味で「野球」らしくなった。
そのビヨンドマックスよりも飛ぶと噂されるローリングスの「飛ぶバット」。出会える日を楽しみにしていたら昨日、ついに見ることができた。その名も『H-Zone』(HomerunやHitの頭文字をとったのだと思うが、どうなんでしょうか、このネーミングは)。 「ビヨンドマックスと似ている」といわれている通り、見た目の構造上はほぼ同じ。打球部も柔らかい素材でできている。ただ、指で押してみると、ビヨンドマックスよりもへこまない。ビヨンドが3ミリとしたら、H-Zoneは1ミリか…。「エラストマー」という新素材で作られているらしい。
http://www.jin.ne.jp/shibaspo/osusumehin/rawlings/RB4200-L.htm
H-Zoneを使っていた選手に話を訊くと、「やばい!」と一言。ビヨンドマックス以上に飛ぶという。だが、やはり重さは感じるらしく、「振り切れる力がないと使えないかも」とも話していた(ちなみに重さは760グラム)。
今日見に行った練習試合で、早速使っているチームを発見。 ビヨンドマックスと打球部の素材が違うためか、H-Zoneは音が良い。ビヨンドマックスはいくつか不満点が漏れていて、そのひとつが「音の悪さ」だった。打った瞬間、「ボン」という何ともいえない鈍い音がするため、バッターも気持ち悪い、野手、とくに外野手が打球判断を誤るケースが多々あった。H-Zoneはその心配がないかもしれない。
H-Zoneを使ったバッターが出てくると、ネット裏にいたほかの野球部の生徒が「お!H-Zoneだ!」と声をあげるシーンがあった。時代はもはや、ビヨンドマックスより、H-Zoneか?!
ところがところが、ミズノも負けてられないと、来年2月にビヨンドマックスの2004年モデルを発売するという話。先生方に話を訊くと、「柔らかい打球部の範囲が、従来のビヨンドよりも広くなっているのではないか」ということ。 じつは今月15日に、ミズノは少年軟式用のビヨンドマックスを発売しており、こちらの打球部は従来のビヨンドより約13%も打球部を広げている。ということは、芯がやたらに広い。
もう、ここまで来ると、「バット」と呼んでいいものか…。先生の間からも事実、不満の声が上がっている。ある中学には試作品として、グリップ以外のほとんどが柔らかい素材でできているバットが提供されたそうだ。メーカーの努力も分からないことはないが…。
さてさて、H-Zoneはこれからどんな反響を呼ぶのか。すでに使っている先生がいましたら、情報待っております!
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