2003年08月23日(土) |
全中レポ(2) 北海道代表・白老中、明徳義塾中に大健闘【1】 |
過去2度の全中優勝経験がある明徳義塾中(高知)対北海道代表・白老中の2回戦。 試合開始前、「3−0くらいで明徳が勝つだろう」と思っていたが、その予想は見事に覆された。「明徳勝利」の予想には、いくつかの理由があった。
1週間ほど前に横浜スタジアムで行われた「全日本少年軟式野球大会」で北海道代表・釧路鳥取中クラブの試合を見た。正直、全国レベルで見ると北海道のチームは「落ちる」と感じた。「北海道のチームは、全国レベルの中で少し取り残されている」と口にする指導者もいたほどだ。 釧路鳥取中クラブは初戦で横浜クラブに0−4で完敗。一番印象に残ったのは、内外野の守備位置だった。ほかのチームに比べ、守備位置が浅い。今大会は「ビヨンドマックス」の登場もあり、とくに外野の守備位置が深めだった(硬式野球の定位置なみ)。その中で、釧路鳥取中クラブだけは浅い守りだった。 象徴的なシーンが、横浜クラブとの試合、1死二塁でファーストが前進守備を敷いていたこと。なぜ前進守備か。セーフティーバントの警戒である。「北海道はそういう野球なんだろうね。でも、いまそんな野球をやっていたら勝てないよ」。ネット裏からそんな声も上がっていた。事実、この前進守備を敷いた場面では、左打者に一塁線を破られ、得点を許した。定位置であれば、さばけた当たりだった。 帰宅後、大会プログラムで、全日本大会の北海道代表の成績を調べて、驚いてしまった。何と今年の敗戦を含め、12年連続で初戦敗退(そのうち6回が完封負け)。20回の歴史の中で、初戦を突破したのが平成3年の南郷スワローズ、ただ1チームだけだった。つまり、北海道代表の全日本成績は1勝20敗である……。
といっても、これだけ負け続けているのには、カラクリがある。 過去20回の北海道代表チームを調べると、 南郷スワローズ 8回 長沼クラブ 1回 南区スターズ 1回 札幌ジャガーズ 2回 北陽ファミールサンダーズ 3回 東海大四クラブ 2回 登別クラブジュニア 1回 釧路(鳥取中)クラブ 2回
同じチームが複数回出ていることが分かる。全日本の予選に参加するチーム数が少ないためだ。中体連の予選と並行して行われることもあるため、「強豪」といわれる中学校の野球部が全日本の予選には参加していない。中体連は3年生の主力チームで、全日本は1、2年生中心のチームで臨む野球部もある。 そのため、全日本の成績だけを見て、北海道は「全国レベルでは落ちる」とは言えないのだが……、「明徳vs白老」という名前だけ見て、明徳の勝利を予想した。
全日本では大不振の続く北海道勢だが、全中では過去に全国制覇を成し遂げたこともある。高校野球では結果の出ていない北海道。中学野球の世界では、活躍を見せているのだ。硬式野球でも、先日閉幕したジャイアンツカップで札幌新琴似シニアリーグが、準優勝に輝いた。
今年、全道大会を制し、初めて全中に出場した白老中は、野球の盛んな白老町にある。「大昭和製紙白老」「Viga白老」などの社会人野球チームが活躍した野球の町だ。小学生の学童野球でも、昨年行われた「全日本学童軟式野球大会(マクドナルド・トーナメント)」で、白老緑ヶ丘ファイターズが全国3位に入った。
そんな白老町立白老中が、野球をするために全国から集まっている明徳義塾中と対戦した。
|