2003年01月23日(木) |
来季へ(5) 横浜国大・渡邊裕文投手【2】 |
なぜ、エース番号の封印を破ろうとしたのか。 今まで笑みを浮かべながら話していた渡邊だが、その話しになったときだけ、真顔になった。 「着けなきゃいけないと思ったので」 短すぎる言葉。でも、想いは十分伝わってきた。エースの自覚を感じた。
渡邊は、大学進学を決める際、国大のほかに、関西の名門大学も視野に入れていた。国大へ進めなければ、その道に進むつもりだったという。 「国大でなく、関西の方に進んでいれば、野球は続けていなかったと思います。マネージャーやろうと思ってましたから」 渡邊のいた岐阜北高は3年夏の県予選、初戦となった2回戦で大垣東に3−6で敗れた。甲子園は夢の夢。あっという間の夏だった。 「大学で野球を続けるなんて、考えられなかった。自信もなかったですし」 いわゆる「強豪」ではない国大だからこそ、野球を続けることができたといえる。
渡邊は目指している選手に、高津の名を挙げた。 投球フォーム、投げ方が、よく似ていると思う。足りないのは、中身の質。 国学院大戦で、遅いシンカーがほとんどなかった点が、もったいないなぁと思った。その話しを渡邊に振ると、「マスターしたいとは思っているんですが、まだ未完成なので怖くて投げられない」と答えた。
学生コーチのひとりである黒田は、「北川さんが抜けたあと低迷が続いたが、来季のチームには手応えを感じている」と話す。 渡邊も野原も、以前から同じようなことを言っていた。 「自分たちの代になったとき、国大を変えます」 変わるのではなく、変える。明確な意志が感じられた。
春季リーグ開幕まで、約3ヶ月。 神奈川大学リーグに、国大旋風が巻き起こることを今から楽しみにしている。
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