俺が大学に入学したのはバブルの終わり頃。 軽量鉄骨造りの安っぽいワンルームで家賃は7万5千もした。 我侭に育った俺は、風呂なしの部屋で銭湯通いなど思いもせず、 当然のようにそんなワンルームに住み始めた。
そのマンション、と言うよりアパートは、 大学から近かったということもあって、住人のほとんどが大学生。 俺の隣りにも同じ大学に通う1つ上の学年の女の人が住んでいた。 まあ、隣りに住んでいると言っても、 会えば挨拶するという程度の付き合いしかなかったのだが。 たしか橋本さん、って名前だったな。
橋本さんはあまり美人とは言えない、いや、 どちらかといえば不細工なほうだったけれど、 なにしろ、胸がでかかった。 向こう10メートル、いや、 20メートルからでも目に飛び込んでくる胸のでかさ。 向こうから歩いてくる女の人が目に入る。 お、胸でけぇなあ、あ、橋本さんか、って感じ。
彼女は時々部屋に彼氏を連れて来ていて、 たまに玄関先で二人に会くわすことがあった。 そんな時、彼氏の方はそっけないのだれど、 彼女のほうは笑顔でこんにちはとあいさつしてくれる。 そんな、愛想のよい橋本さん。
ある晩 寝ていると、物音で目が覚めた。 夜中の2時、3時だったと思う。 ギシギシと軋むパイプベッドの音に、激しい女の喘ぎ声。 人生で初めて聞く本物のセックスの声だった。 セックスや! 本物のセックスや! 恥ずかしながらその時俺は正真正銘の童貞野郎。 それはもう、めちゃくちゃに興奮した。 壁一枚隔てた向こうで、普段挨拶を交わしている1つ年上のお姉さんが 俺が妄想でしか知らないセックスをしている。 血が沸騰するとはまさにこのこと。 飛び起きて我を忘れてチンポをしごいた。
これが、もう、ホントすごい声を出すのだ。 「いく、いく、いくぅうう〜」って、乱れまくる。 なにしろ壁越しの声で起こされるくらいなのだから。 今思い出しても勃起する。
それ以来、隣りから男の声が聞こえてくると、 「お、今晩はまたセックスだな」と思って、 壁に当てるためのコップと オナニー用のベビーローションをいそいそと用意して、 ドキドキしながら夜に備えた。
シャワーの音が聞こえてくると、さあ、いよいよである。 しばらくすると、アン、アンという声が聞こえてくる。
ある晩、アノ声が聞こえてきたので、 さっそく壁にコップを当てようとしたところ、 思いのほか勢いがついてコツリと大きな音を立ててしまった。 いつも聞こえてくるあえぎ声の近さからいって、 橋本さんのベッドは俺の部屋に面した壁際にあるようで、 このコップが当たる音が向こうに聞こえてしまったようだ。 あえぎ声がぴたりと止んだ。
なにやら、ゴソゴソと話している声がする。 「ひょっとして隣りまだ起きてるんじゃない?」 「大丈夫だろ。それに起きてたって関係ねぇよ。」 「まさか、私達の声をコップ当てて聞いてるなんてことないよね。」 「聞きたきゃ聞かしたれよ。」 「でも、となり起きてたら嫌だよ。」 「しゃあねぇな、じゃ、ちょっと見たろか。」 という会話が交わされたのかどうかは定かではないが、 ガラッと隣りの窓が開く音がした。
その日は幸い俺の部屋の電気は消してあった。 点けていたのはスタンドの電気のみ。 あえぎ声が止まった時点でそれも消して息をひそめたので、 隣りの窓が開いた時には俺の部屋は真っ暗だった。
スタンドの明かりひとつの暗い部屋で コップに耳をあて隣りのお姉さんのあえぎ声をオカズに ベビーオイルでオナニーするえろいろ18歳の春。 そのスタンドの明かりも消し、 下半身丸出し、チンポはベビーオイルでベタベタの状態で 息をひそめる姿はなんとも物悲しい。
「電気消えてるよ。大丈夫、寝てるよ。」 多分、彼氏はこんな風なことを言ったのだろう。 再びおっぱじまって、俺もも無事にヌクことができた。
しかしこうやって書いてみると俺もずいぶんと悪趣味だ。 まあ、若気の至りということで御勘弁。 今は決してそんなことしてません、と俺の名誉のために言っておこう。
しかし、橋本さんに限らず、引越しする先々で 隣りからセックスの声が聞こえてきていたのだけれど、 皆さん隣りに聞こえていても気にしないのでしょうかね。 それとも聞こえているって気付いていないのかな。 かく言う俺は、前者ですね。 他の人はどうなのかと、ちょっと気になる。 隣りで俺みたいな変態がコップあてて聞いてるかもよ!
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