加藤のメモ的日記
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2023年06月15日(木) ドイツは脱原発を達成

ドイツで2023年、4月15日、最後まで運転していた3基の原発の稼働が停止し、ついに「脱原発の目標が達成された。1961年に旧西ドイツで実験用原発が初稼働してから約60年。一時は発電量の3割以上を占めた原発の歴史が終幕した。

各地で停止を祝う集会

この日、ドイツ各地で原発停止を祝う集会が開かれた。最後まで稼働していた3基のうちの一つ、北西部リンゲンにあるエムスラント原発前には、反原発運動に取り組んできた市民350人が集結し、「長年の運動の成果だ」と声をあげた。原発の電源スイッチの模型も登場し、レバーを「オフ」にすると歓声に包まれた。

音楽家のアンドレアス・オットメアさん(60)は両親と反原発絵もに参加したことを振り返り、「両親がまいた小さな種が実った
」と強調。「二人の娘にも脱原発の価値を伝えていく」と語った。

学生のヨハナ・ミセアビッツさん(20)は、「ちょっとした手違いや事故が環境や人間の生活を壊す。そんなエネルギーを将来に残したくない」と強調。2011年の東京電力福島第一原発事故をニュースで見て以来、両親と運動を続けて来たと言う。

活動家らは「完全な脱原発の達成が必要」と訴える。リンゲンの核燃料施設は稼働を続けるからです。施設を所有する仏フラマトム社は、ロシア企業との合弁による核燃料製造を計画している。この燃料は欧州の他国の原発で使われる。ロシアを利することにもつながるため「ドイツ政府が介入してやめさせるべきだ」との指摘が相次いだ。

「原子力は制御できない」

ドイツの脱原発を後押ししたのは、70年代から続く反核・反原発運動だ。レムケ環境相(緑の党)は、3月末の記者会見で「祖国のために反原発運動を戦ってきた多くの運動家たちに感謝したい」と語った。レムケ氏は「原子力は高リスク技術。ドイツのような国でも制御できない」「戦争状態での防護体制がとられている原発は世界のどこにもない」と指摘する。「脱原発でドイツはより安全になる」と強調した。

ドイツは02年、社民党と緑の党の連立政権下で、2022年ころまでの原発の段階的廃止を法制化した。中道右派のメルケル政権は。運転期間をいったん延長したものの、11年の福島原発事故を受け、2022年末までの脱原発に踏み切った。

福島原発事故の翌月、政府は与野党議員や学者ら17人からなる「完全なエネルギー供給に関する倫理委員会を設置し、「持続可能な将来こそ倫理的な将来だ」とのか考えに基づき、市民との意見交換を通じて脱原発を勧告すると、政府はそれに従った。

法改正により、再生可能エネルギーの導入も拡大した。連邦統計局が3月9日に公表した2022年の発電量の内訳で再生エネルギーは46.3%に到達した。2011年の発電量の内訳で再エネは46.35に到達。2011年の20%から2倍超となった。ロシアのウクライナ侵略によるエネルギー危機を受け、現在の社民・緑・自由民主党連立政権は昨年、残る3基の稼働を今年4月15日まで延長すると決めた。将来への影響を考慮し、それ以上の延長はしませんでした。

他方で、天然ガス輸入の半分以上を頼ってきたロシア産ガスからの撤退を実施。その過程で、石炭火力発電所の稼働の一時的拡大や液化天然ガス(LNG)基地の新設が進められた。2022年の発電量の内訳は、石炭火力が33.3%になり、国内の環境活動家からは「化石燃料まみれ」だと厳しい批判も出た。

今後は脱石炭と再生可能エネルギーの導入拡大をしつつ、30基以上の原発の廃炉作業を進めることになる。レムケ環境相によると、原子炉解体による低中レベル放射性廃棄物の処理は数十年かかります。使用済み核燃料などの高レベル廃棄物は現在16か所の中間貯蔵施設に保管されており、最終処理場の選定という難問が横たわっています。


『週刊新潮』6.8







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