加藤のメモ的日記
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2023年05月30日(火) |
中国が日本に仕掛けた赤い罠 ⓷ |
近代化を進める中国軍
では、本格的に動くのはいつか。筆者が特に注視しているのは2024年だ。1月には台湾総統選がある。中国と距離を置く民主党総統の蔡英文は2期の任期を終え、新たな民主党候補と国民党候補が争う台湾アイデンティティの高まりとともに、中国寄りの国民党離れが進んでおり、民主党候補が有利とみられている。
台湾では1996年に直接選挙による総統選が始まってから、国民党と民主党の総裁が2期ずつで交互に入れ替わってきた。もし慣例を破る形で民進党候補が3連勝すれば、中国は「台湾独立行為」という口実をつくって攻勢を強める可能性がある。さらに同年11月には、米大統領選挙も控えている。現大統領のジョー・バイデン氏は、経済政策の不発から人気を落としている。再選すれば82歳といういう高齢による健康問題も懸念される。捲土重来を期す前大統領のドナルド・トランプも再出馬に意欲を見せている。
2020年のように接戦となって結果を巡り混乱が生じれば好機と見た中国が行動に踏み切る可能性も否定できない。筆者が中国の当局者や研究者と意見交換をしていて感じるのは、米国の大統領選挙前後の政権移行期を「権力の空白」とみる傾向があることだ。実際、再集計問題でもつれた2000年の大統領選では、その4か月後南シナ海上空を飛んでいた米軍偵察機に中国軍戦闘機が衝突して墜落する事件が起きている。
二つの重要な選挙が重なる2024年、習が決起する衝動に駆られる可能性がある。台湾側も危機感を募らせている。「中国が2025年には全面的に台湾に侵攻できる能力を持つ。私は軍に入って40年以上経つが、最も厳しい」台湾の国防部長は10月6日に開かれた国会の国防予算審議で、台湾海峡厳しい現実についてこう語った。
これまでも兵器や兵力の数では中国軍が台湾軍よりも勝っていた。ただ、米国の武器支援を受けた台湾側は、質では優位に立っていたが、急速に近代化を進める中国軍が質量共に台湾軍をしのぐようになった。では、中国軍は具体的にどのように台湾併合に動くのか。
習自身が「中国人は中国人を攻撃しない」と言及しているように、台湾への全面的な軍事侵攻は避けたいのが本音だろう。台湾には、全世界の92%の最先端半導体の製造が集積するほか、中国軍にとって重要なサプライチェーン(部品供給網)があるからだ。さらに、軍事侵攻に踏み切れば、台湾の軍や市民による抵抗も予想される。米国の介入も避けられないだろう。
ロシア・ウクライナ戦争では、習の盟友、ロシア大統領のウラジミール・プーチンが、米国の全面的な支援を受けたウクライナ軍による予想以上の抵抗に苦しめられているのを目の当たりにしているはずだ。
日本を狙う
それでは台湾有事の際に中国はどこを狙うのか。それは日本だ。と筆者は断言できる。中国には「将を射んとする者はまず馬を射よ」という故事がある。「日本を直接攻撃するのではなく、まず周囲のものに打撃を与えたり味方につけるべき」という意味だ中国にとって
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