加藤のメモ的日記
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2018年04月05日(木) 幸せという問題

しかし変われば変わるもんです。かっては映画の現場は、常にたばこの煙がもうもうとしていました。監督はもちろん、俳優も喫煙者でしたし、女性スタッフも両切りのたばこを吸っていました。それが今や現場は禁煙で、吸う人もめっきり減りました。その昔、FIグランプリのスポンサーは、たばこのブランドが花盛りだったものです。当時はセナやプロスト、ピケといったスタードライバーがいましたが、たばこ会社が撤退するのと時を同じくして、スターもいなくなったように思います。

僕自身は、それでもたばこは決してなくならない信じているところがあります。万が一、時代が変わって「たばこやめますか?仕事やめますか?」って詰め寄られたら、僕なんか仕事をやめかねないところがありますね。とはいえ、周りの人に嫌な思いをさせてまで吸おうという気はありませんよ。ただ、できれば家の外でも吸いたい。そういう時に、たばこの臭いや煙が苦手な人たちに迷惑をかけずにいられるような道具ができたらなあと思うことはあります。

例えば、ハワイなどで海中散歩のときにかぶるヘルメットのようなものがあるでしょう。喫煙者がそういうヘルメットをかぶってたばこを吸うと、煙が自動的に処理されるような。そんな道具がもし発明されたら、僕はかぶりますよ。恰好なんか気にしないで。そういうものを作ってもらえないかなあ。また、部屋の中で誰かが吸ったら、その煙草を察知してピンポイントで吸い込んでしまうような機械とかね。だって、吸う人と吸わない人が一緒にいられるような世の中がいいに決まっていますから。

でもね、嗜好品を規制するというのは、それが好きな人にとっては幸せの問題に関わってくると思うんですよ。花を見るのが好きな人がいるように、たばこを吸う時間を大切に思う人もいるんです。人それぞれなのに、その選択肢が否応なく減らされていくというのは、僕のようなたばこ好きには納得できない。だって仕事ってやはりストレスじゃないですか。だからこそ一服したいわけで、たばこがある幸せってとても大きいと思うんです。

ただ、そうはいってもマナーは守らなくちゃいけない。この点については僕も断固としてそう思います。でも、マナーを徹底させるなら、酒やたばこに関してのマナー教室をたくさん作って徹底的に教えたほうがいいんじゃないでしょうか。喫煙のベテランが責任を持って、しっかり次の世代に、マナーを伝えていかなくてはならないと思いますね。



『週刊新潮』10.26


加藤  |MAIL