加藤のメモ的日記
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2014年12月11日(木) 老後破産 ��

「破産する人」「しない人」ここが分かれ目だった

「一人暮らしの男」が危ない

誰にでも襲いかかるかもしれない老後破産の恐怖。どんな人が貧困状態に陥りやすいのか。高齢者問題に詳しい正徳大学福祉学科教授・結城康弘氏と、生活困窮者への支援を行なっているNPO法人ほっとプラス代表理事の藤田孝則氏に聞いた。
        
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■私が代表理事を務めているNPOでは、生活困窮者の相談を年間300件ほど受けていますが、そのうち半数が65歳以上の高齢者で、しかも一人暮らしの男性なんです。もともと独身で天涯孤独の人だったり、離婚してしまった方だったりと事情はさまざまですが、誰にも相談できず貧困状態のまま我慢して暮らしてきて、「いよいよ」という状態になって初めて我々のところへ来られる。

○女性よりも男性の方が、老後破産しやすいという傾向にありますね。

■女性の方がコミュニケーション能力が高いので、比較的早めに相談に来るんです。男性の場合、逞しく、強くなければという意識の強い人が多い。まずいのは誰にも相談できず、自分だけでなんとかしようとするケースです。最悪の場合、孤独死とか餓死という状態になってしまいます。

○収入についてみてみると、まず国民年金だけでは生活するのは困難です。国民年金は定年のない自営業者のための年金で、本来なら65歳以上になっても働き続けながら年金を受け取るとか、高齢者は子供世代に扶養されつつ年金を受け取るという前提で制度設計がされています。しかし実際にはそんな悠々自適な自営業者ばかりではないし、65歳以上になって新たに就労するのはまず無理でしょう。では子供や親族に頼れるかというと、様々な事情から家族と絶縁状態にある人もいるし、子供自体が貧しくて親の面倒を見られないという場合もあります。

■そうですね。高齢者が頼れる子供世代は、いまは雇用者の約3割が非正規雇用ですから、ワーキングプア状態の人が多い。夫婦と職探し中の息子の3人暮らしで収入は夫婦の年金10万円だけ、なんていう家庭もあるぐらいです。そのため胡どの世話になるどころか、定年後も子供の学生時代の奨学金の返済に追われていたり、息子の自動車ローンを払っていたりして貧困状態になっている高齢者も多いんです。子供世代の貧困問題を親世代が被ってしまっているんですね。自分自身は大丈夫だと思っていても子供が自立していない、というのも破産の原因になるんです。

○国民年金や無年金の人だけではなく、サラリーマンで厚生年金をもらえる人でも困窮する人は少なくないはずです。

■以前、相談にのったおじいちゃんは65歳までの40年間、町工場で働き続けながらコツコツ貯金していました。引退後は「貯金もあるし、年金も入って来るから大丈夫だろう」と思っていたけど、75歳くらいから貯金が目に見えて減り、そのうちアパートの家賃が払えなくなって、78歳になった時に家賃滞納を理由にアパートを追われてしまったんです。

○決して贅沢をしていたわけではなくても、気づいたら貯金が目減りしていたということはあり得ます。定年後は、収入は確実に下がるわけですから、現役時代と変わらない生活習慣を続け、生活のレベルを下げられない人。これも破産に陥る一因でしょう。

■うまくやりくりしていけると思っていても、実際に年金が支給されると、「これだけ安とは」と驚く人が少なくないんですね。このように中小企業のサラリーマンはもともと給料が低いので、現役時代の報酬に比例する年金支給額も少ないのです。

プライドが邪魔をする

○謝意の高齢化は急ピッチで進みますから、このままでは社会秩序が崩壊しかねません。実際、貧困から来る高齢者の犯罪も増えていますからね。

■そうですね。高齢者の犯罪の増加は肌身で感じていますが、多いのは万引きですが、やはり貧困が原因になっている者が圧倒的です。万引きする商品も弁当三つだったりしますから、明らかに生きるために盗んでいる。もう一つ増えているのが無銭飲食です。牛丼店やカラオケボックスで大量に食べ、支払いの段になったら「警察を呼んでくれ」と。万引きは窃盗罪、無銭飲食は詐欺罪になりますが、初犯だと逮捕されても罰金形で釈放されることがほとんどです。でも、貧困状態のままだと同じことの繰り返しになる。そのうち裁判所も「もう社会の中で生活できない」と判断しますから、刑務所に入ることになる。しかし、半年、1年と刑務所生活が続くと、出所した時に帰るアパートもなくなってしまう。そこから生活を再建するために必要なコストが一層増えることになるんです。

だから貧困問題というのは早期発見、早期介入が原則なんですが、難しいのは外見からは困窮しているのか否かを見分けることができないことです。最近は衣料品も安いので、貧困層の人でも見た目はこざっぱりしている人が多い。背広を着ていながら「じつはネットカフェで寝泊まりしています」という高齢者もいますからね。

○だけど、本当は高齢者の貧困問題というのは存在しないはずなんです。なぜなら。事実上就労が困難である65歳以上で貧困状態にある人なら、生活保護を受けられるんですから。

■本当にその通りだと思いますけど、問題は二つあります。一つは彼らが持っているプライド。特に高齢者に多いのは、他人の世話になってはいけないという道徳観が根強くある。「生活保護で受給者となるのは恥だ。お上の世話にはなりたくない」と思う人も多いですし、身近な人にも頼れない。だけど、そのままでは生活が破綻するし、なかには栄養状態が悪化して健康を損なう人もいる。

○私は若者の貧困問題は、当事者の甘えも半分はあると思っているんですが、お年寄りに限っては、生活保護の受給は権利であるという認識がもう少し必要だと思います。そうしないと憲法25条で保障されている「健康で文化的な最低限度の生活」が保てません。

■老後破産のもう一つの問題は、窓口となる福祉事務所の対応です。

○わざと生活保護を受けさせなかったり、いい加減な職員が門前払いしているのが実実態ですからね。

■ええ、持ち家のような資産を持って人の場合、扱いが非常に厳しくなるんですね。相談に来られる方というは、古くてボロボロになった家に住んでいる人が多いんですが、自宅を売却しようと思っていもおそらく買い手はつかないような物件です。それでも役所では「生活保護は資産を売ってからです」と言うところがまだまだ多い。

○本来、ローンがなくて資産価値が一定基準以下で、生活に利用している持ち家であれば売却する必要はありません。

■そうなんです。いま住んでいるところに住み続けながら生活保護を受けましょうという方向に国の政策は動いているんですが、福祉事務所の現場では「資産を売却してから」という説明が、まだまだまかり通っているんです。世の中にも「家や車を持っていると生活保護は受けられない」という誤った情報が広まっているので、事前に諦めてしまうお年寄りも多いんですよね。



■結城康弘 淑徳大学福祉学部教授 社会福祉士、ケアマネージャー、介護福祉士として地方自治体に勤務した後に現職。近著に『孤独死のリアル』(講談社現代新書)など

○藤田孝典 生活困窮者の支援活動を行なうNPO法人ほっとプラス代表理事。反貧困ネットワーク埼玉代表なども務める。著書に『ひとりも殺させない』(堀之内出版)など


『週刊現代』10.11


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