加藤のメモ的日記
DiaryINDEX|past|will


2013年11月07日(木) 東電破綻 ��

そのとき何が起こるのか。当事者能力ゼロ、もはや時間の問題

メガバンクが貸した2.1兆円はパー、4.4兆円社債も紙くずに

東京電力は瀕死の状態だ。延命装置を外せば、巨象は倒れる。それは原子力村の無責任体質に切り込む改革の始まりか。日本経済を奈落の底に落とす劇薬か。ゲームセットの笛がまもなく吹かれる。

止まらない汚染水漏れ、遅々として進まない除染、混乱続きの賠償問題…。かって「財界の王」として君臨していた存在感は見る影もなく、東京電力が末期的な”機能不全”にもがき苦しんでいる。国が1兆円の”カンフル剤”を注入して東電を実質国有化してから、もうすぐ1年3ヶ月が過ぎようとしている。しかし、事態が何ら好転せず、むしろ悪化するばかりなのは、汚染水問題への杜撰な対応の数々をみても明らかである。

傷だらけの東電に、同情する向きはもういない。今すぐ破綻処理せよと、東電に最後通牒を突きつける声は日増しに大きくなっている。国会の場や大手メディアで東電破綻が公然と語られ始めたのが、「最終ステージ」に入ったことを物語る。東電問題に詳しい弁護士の久保氏が言う。

「いまは汚染水が騒がれていますが、今後もまだまだ問題がたくさん出てくるでしょう。それを東電だけで解決できるわけがありませんし、福島第一原発事故直後のあのちぐはぐな対応をみていれば、この会社に責任能力がないことは明白です。ですから私は、最初から東電を法的整理すべきだと主張してきました。いまでも遅すぎることはありません。即刻、法的整理に踏み切るべきです。国は覚悟を決めて、救済は国の責務だと云うことを踏まえてやる。国が賠償を担わないで、東電だけで被災者を救済することはできません」

10月23日、東電は福島第一原発の排水溝の水から、超高濃度の放射性物質が検出されたと発表した。一部が海に流れ込んだ可能性があり、汚染水がコントロールされていない実態が明らかになった。当事者能力を失い迷走を続ける東電の経営陣に、投資家たちも愛想を尽かし、我先にと東電株からの脱出を始めている。前述の放射性物質検出の件が報道で流れた際も、マーケットに東電株への売り注文がなだれ込んだ。

「福島第一原発には地下水が流れ込んでおり、汚染水がこれからも大量に生産されてしまうことは明らかです。汚染水問題や除染、廃炉などに対する東電の対応は限界に来ている。そうした対応への財政負担も不透明化する中にあっては、東電を破綻処理した方がいい。破綻処理によって生じる問題もありますが、一刻も早く国が判断するべきでしょう」(元財務官僚・小黒氏)

「世紀の破綻劇」になる

東電破綻は避けられない。もちろんそれは。いまだ経験したことのない世紀の破綻劇だ。2010年に破綻して日本全国が大騒ぎとなった当時の日本航空(JAL)と比べると、東電の売上高は約3倍の5兆9700億円。株主数も2倍近いのだから、前代未聞の大型破綻劇になるのは明らかである。東電の場合、「関係者」の数も半端ではない。86万人を超える個人投資家、3635社もの国内法人が東電株を保有。融資をしている金融機関には「大手」のながずらりと並ぶ。

中でもメガバンクとの関係は深く、3メガバンクからの借入金合計は約2.1兆円(2011年3月時点)。にのぼる。さらに、年間1兆円を超える「東電マネー(設備投資+製品調達)に関わる取引先の数は4500社ほどといわれる。こんな巨大企業が破綻すれば、日本経済を揺るがす事態が各地で同時多発的に起こり、最悪の場合は日本経済を根っこから脱落させる”巨大テロ”になりかねないのだ。

「通常の破綻処理スキームを使った場合、株券は価値がなくなり、銀行の融資も大半がカットされるので、まずは金融市場がパニックに陥るでしょう。東電を破綻処理するとなれば、複雑で膨大なスキームを作る必要があり大変な時間がかかる。スキームを作っている間から、金融市場の混乱が出てくると懸念されます」(一橋大学・山内教授)

実はこうした事態を見越して、禁輸期間はすでに対応に動き出している。東電など電力会社が発行する社債は、その電力会社が破綻した際に、他の債権より優先して返済してもらえる特別な仕組みになっている。「そこで昨年、メガバンク、大手生保などの金融機関が東電に『1兆円融資』を行う際には、実は社債を引き受ける形を採用し、より確実に金が返済されるようにしているのです。金融機関はいま、過去に行なった巨額融資についても、この社債スキームに切り替えようと動いているし、今後の新規融資についても同じスキームを使うといわれています」(嘉悦大学・小野准教授)

しかし、金融機関がなりふり構わぬ防衛策を講じても、東電破綻の巨大インパクトからは逃げ切れない。東電が破綻すると、いったい何が起こるのか―間違いなく言えるのは、真っ先にやられるのが金融機関だということだ。

「なぜなら、法的整理というのは、債権債務関係を全て整理するということ。まず、東電の株の価値がゼロになり、その後に資産が残っていれば債権者にお金を戻す流れになる。おそらく東電破綻を決意した政府は『資産はない』と言うでしょう。つまり、優先的に弁済される東電の社債も、破綻してお金がないからという理由でカットされてしまう。(大手証券アナリスト)保有株、社債、融資全てがカットされる。メガバンクが千億規模の損失を被る「金融ショック」の幕開けである。


『週刊現代』11.9


加藤  |MAIL