加藤のメモ的日記
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| 2013年10月22日(火) |
大銀行と暴力団 �� |
組員が語る「マル暴マネー」の現場
最初から返すつもりはない
「既存の暴力団のシノギはほとんどできなくなりました。今や福島第一原発への作業員派遣におけるピンハネや、中小企業への支援金を騙し取ることくらい。覚せい剤の売買やノミ行為でしのいでいる組もあるようですが、いずれダメになるでしょう」ノンフィックション作家の溝口氏が分析するように、暴排条例の施行で、暴力団のビジネスは大打撃を受けた。
「キャッシュで全額払うといっても、ディーラーが車を売ってくれなくなった」(暴力団幹部)、「兄弟分が市営住宅から追い出された」(元組員)と、暴力団を表社会から締め出す動きも出ている。だが、行き場を失った暴力団は、その手口をいっそう巧妙化させ、それとはわからないように市民生活に入り込んでいる。
現場の暴力団組員が、金儲けの手口の一端を明かす。「人気の犬や猫をブリーダーから安く買って、ペットショップに転売したり、山の一部を買い取ってヤードにして、ワケありの車を解体したりと、ここ数年、ニッチなシノギにシフトしているね。今一番いいのが、お年寄り相手の商売。バンに健康食品や下着、介護ベッドなんかを積んで、見てくれのいい若い衆に売りに行かせる。とりあえず契約させしちまえば、あとはクーリングオフの期間が過ぎるのを待てば勝ち」
一見して儲けは少なそうだが、それだけ暴力団も生き残りのために必死だということだろう。今回問題となった、みずほの230件の提携ローン契約の中にも、60回払いのものがあるという。これは反社会勢力の資金低下を物語っているのか、それとももっと深い闇とつながっているのか。ジャーナリストの須田氏が解説する。
「今のところ、暴力団が活動資金確保のため、みずほから組織的に融資を引っ張ったという形跡は見つかっていません。ただ、何件が焦げ付きが出ているのは間違いない。みずほ広報は否定ですが、回収にあたっている様子もないんです。だとするとこれは、結果的に暴力団への利益供与になる。それが彼らの活動資金に回った可能性は否定できません」
元広域暴力団組員の梅木氏によれば、みずほが信販会社オリコを間に入れて融資をした「提携ローン」というスキームを、暴力団は今も利用しているという。「みずほの件は中古車のローンでしたが、それでは金額が知れています。暴力団の中には、このスキームを住宅ローンやリフォームで使う者もいる。業者を抱き込んで、実際は700万円で済む工事も見積もりを1000万円で出してもらうのです。もちろん、業者にはいくらかバックします」
問題となった提携ローンは、借り受け人から、中古車ディーラー、そして信販会社からみずほという四者間のローンである。このケースでは、ディーラーのところにリフォーム会社が入る構図だ。「表面上、問題がなければ、信販会社はロクに調べもしないで、審査を通してくれます。せいぜい、借り受け人の職場にウラとりの電話を入れるくらい。一度も面談しないことの方が多い」
この際、借り受け人が組員だと審査が通らないので、わざと破門された「なりすましのカタギ」組員か、暴走族やチーマー上がりの「元集団」を立てる。バブル崩壊後、新たに反社会勢力に加わったのが「半グレ」と呼ばれる暴走族上がりの「元集団」である。名簿はなく、本部も持たず、先輩後輩のネットワークで動く彼らの実態を完全に把握するのは困難だ。融資が実行されて、リフォーム業者にカネが入れば、あとは借り受け人と分配して踏み倒すだけ。リフォーム工事自体、行われないケースもあるという。
「借金を踏み倒したことでブラックリストに載せられますが、1年ぐらいは猶予がある。その間、同じ手口で5〜6社からカネを引っ張るわけです。その後は借り受け人を婿入りさせたり、養子縁組して名前を変えて”別人”にして、最初からもう一回同じことをする。今回のみずほの件は、借り受け人のやくざ者ばかりが注目されていますが、我々に言わせたら、信販会社と借り受け人の間に入っているディーラーも怪しいですよ。中には悪いディーラーがいて、借り受け人とグルになって融資されたカネを懐に入れていてもおかしくない」
高利で転貸しする
銀行は各行が独自につくっている「反社リスト」に照らし合わせて、取引先が反社かどうか判断している。だが、いくら住所などの情報がマッチングしても本人が組員でない限り、口座や融資を凍結することはできない。梅木氏は言う。「なりすましのカタギ、何より元集団を銀行が審査ではじくのは至難の技」だと。国内屈指の巨大半グレ組織『怒羅権』の場合、口座を持っている者が多数いるという。「仮に反社リストに載せられたとしても、彼らにリスクはないんです。警察立会いのもと、口座内の預金が返済されるだけで、犯罪収益金として吸い上げられるわけではないですから。しかも、反社認定されることはだいたい、事前にわかるといいます。『1〜2年のタイムラグがあるから、その間に十分対処できる』と」
いまどきのやくざは、ベンツに乗らないないんです。梅木氏はそう笑う。「目立つ高級車に乗ってると、すぐにナンバーを控えられて、所有者、使用者、ディーラーが密接交際者にされてしまう。レクサスもマークされるらしいですね。だから親分連中の送迎は、エスティマやアルファードといった、国産のバンでやってますね。街からイカついベンツが消えたように見えますが、ようは見えなくなっただけ。マル暴マネーの現場は確かに変わりました。これまで飲み屋、デリヘルなんかは店長、もしくはオーナーがヤクザ者というところが多かった。今はさすがにそうはいかないから全員、なりすましのカタギか、元集団にやらせている」
かって暴力団による住宅ローン詐欺が問題になったことがある。バブル期、銀行が1000万円以下の住宅ローンを新版会社に次々と丸投げ。ろくに担保審査もせず実績を増やした結果、暴力団が易々と住宅ローンを借り受け、そのカネを資金繰りに苦しむ中小企業に法外な高利で転貸ししたのだ。今回問題になった提携ローンというスキームは、バブル時代のこの迂回融資と酷似している。
「暴力団を締め付ければ締め付けるほど、地下に潜りより巧妙な、あるいは犯罪的な手段に走る傾向が強まる。もともと持っていた犯罪者としての側面が、より直接的に表出するのではないか」(溝口氏)この見立てはそのまま、元組員が語った現実と重なっている。暴力団と銀行の関係は、少し形を変えただけで、基本的にはバブルの時代から何も変わっていないのだ。
『週刊現代』10.19
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