加藤のメモ的日記
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過去の天下りの規制策は、ザル法だった
これまでにも、天下りを是正、あるいは撤廃させるための規制強化は行われてきたようだが、それでも天下りは一向になくならない。規制策がザル法であったからだ。そもそも国家公務員法では、退職後2寝年間は退職前の5年間についたポストとは関係の深い企業に就職することを禁止しいるが、人事院が認めた場合はその限りではなかった。しかも、本書で問題としている外郭団体への天下りや、外郭団体から民間企業への天下りは規制の対象外で、外郭団体を経由した「迂回」も可能であった。そこで1997年には、局長以上の者が各庁の影響力の強い企業へ天下ることを禁じる、その他の者も代表権を持つ役員にはなれないなど、規制は強化された。
しかし、2007年に成立した改正国家公務員法では、2008年末にこの規制を廃止し、代わりに再就職後に出身省庁に対して口利きすることに対する刑事罰が設けられた。一応、内閣府が利害関係を事前審査すること、在職中の利害関係企業などへの求職活動は禁止することが明言されたが、天下りそのものは野放しにされたのだ。
また、斡旋についてはどうであろうか。省庁による組織的な斡旋が禁止されたのも、2008年12月31日だ。ただこれも原則禁止であって、内閣府の官民人材交流センターによる斡旋は残った。根絶する気はもとよりなかったということがわかる。そんな状況の中、2009年8月の参議院議員選挙で、民主党政権が実現した。それを見越して、各省庁で駆け込み的な天下り事案が多数起こってしまった。天下り隠しも横行した。たとえば厚生労働省所管の独立行政法人「高齢・障害者用雇用促進支援機構」が毎年、全国47都道府県にある、同省OBの天下り先である公益法人「雇用開発協会」対して、同省の交付金によって賄われている雇用支援事業を随意契約で発注し、この事業の委託費から天下りOBの年収を支払うように指示していたことがわかった。
あるいは、同年11月、厚生労働省所管の三つの独立行政法人が、天下りOB6人を給与水準が公表されない嘱託職員として雇用していることが、朝日新聞の調べでわかった。三法人とは、「高齢・障害者雇用支援機構」「雇用・能力開発機構」「労働政策研究・研修機構」だ。この三法人には、天下り役員が5人いたが、その年収は約1300万円〜1700万円で、6人の嘱託職員の年収も非公表ながら、約900万円〜1200万円であったという。一般的な嘱託職員の年収は300万円〜400万円が相場で、これはまさに天下り隠しだ。
その後、12月になって、総務相が発表したところによると、独立行政法人の非正規の嘱託職員のうち、国家公務員の再就職で、年収1000万円以上もらっている職員は、7法人で合計11人であることがわかった。2006年度施行の行政改革推進に関する法律で、役員を含めた独立行政法人の人件費は、2005年度を基準に2006年度以降の5年間で5%カットされることとなっていたが、嘱託はこの決定の対象外。さらに、2009年9月末に任期満了となる独立行政法人・特殊法人の役員人事のうち、国家公務員の再就職者が占める合計42ポストの天下り凍結が決定され、今後は公募によることとなったが、もちろん嘱託職員はその限りではない。
鳩山内閣は、2009年9月末に、官僚OB ・OGの独立行政法人への再就職を原則禁止とした。また、それだけでなく、政権公約に掲げた天下り斡旋の全面禁止を改めて宣言した。それを受けて、2010年1月からは、天下りができなくなった。官民人材交流センターによる斡旋も禁止だ。しかし、それでもなお、不安は残る。天下りの定義、斡旋とは何ぞやという部分は、いまだに曖昧であるからだ。官僚は聡い。”迂回”する道を、また容易に見つけてしまうのではないかと思う。
天下りを根絶するには、公務員の再就職を一律禁止にするのが近道だが、これはあまりに乱暴だ。それでは個人の職業選択の自由を奪うことになってしまう。自己努力や請われていく第二の人生を止める権利は誰にもない。また、天下りを禁止したまま肩叩きだけを続けるとなれば、それに応じないキャリアなどが増え、混乱が生じる。あるいは官公庁の人件費が膨らむ。独自に職を見つけるために、腕を磨くのではなく、民間企業などとの個人的な癒着を招く恐れもある。
あるいは公務員の身分のまま。独立行政法人などに出向する現役出向が組織的に増えるという予測もある。そもそも「斡旋の禁止など意味がない」と福島氏はいう。なぜならば、記録に残るように書類によって斡旋をお願いするわけではないからだ。それこそ阿吽の呼吸で行なわれることであるから、「斡旋などない」「斡旋などしていない」と主張されれば、それでおしまいというわけだ。
嘱託扱いや現役出向など、敵もさる者で、浅知恵の限りを尽くして、自分たちの組織、慣行を守ろうとする。「呼び寄せ」も厄介だ。呼びよせとは、天下って独立行政法人や公益法人等で役員となっている人間が、省庁時代に自分のグループに所属していた息のかかった後輩などを呼び寄せることを言いう。それで自分は理事長などにおさまって、一生安泰の王国を築くわけだ。
『天下りの真実』 市村浩一郎
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