加藤のメモ的日記
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2013年08月27日(火) 南海トラフ巨大地震が来る ��

南海トラフ巨大地震は確実にやってくる。問題はそれがいつ起こるかだ。海外で発表された論文は、その予知が実現する可能性を示していた。日本政府・学会が及び腰の予知研究の最前線がここにある。

確率は8割

前震とは、大きな地震の前に、その震源周辺で起こる比較的小規模な地震のこと。前兆現象の一種だ。だが、これまでの地震学の常識では、前震は起こる場合も起こらない場合もあり、とらえるのが非常に難しいとされてきた。そこで、ブション博士らは、観測体制の整っている日本の沿岸を中心とした太平洋沿岸で、1999年1月1日〜2011年1月1日日に起こったM6.5以上、震源の深さが50�劼茲蠕�い地震を抽出した。

このうち東日本大震災や南海トラフ巨大地震と同じ、プレートの境界で起こるタイプの地震31個を調べたところ、25個の地震で大きな地震である本震の前に、震源周辺の地震活動が活発化する、前震の増加がはっきりと観測されていたことが判明したのだ。たとえば、2005年12月2日の宮城県沖地震(M6.5)では、地震4日前から最大M2.9の小さな地震が頻発。本震直前の4時間でさらに小さな地震が急増していたことが分かっている。

こうした現象が、31回中の25回で観測されていた。率にして、実に8割。「前震はあるかないかわからない。あっても普通の地震と区別できない」などと言って傍観している場合ではない。海溝型地震が起こり得る地域では、地震活動が活発化した段階で、「これは大地震の前震の可能性が高い」と考えるべきなのではないか。

電磁波による地震予知の研究が専門の、東海大学地震予知研究センター長・長尾氏はこう話す。「これほどはっきりと前震が捕えられるというのです。ならば、『この地域は今、大きな地震が来そうになっていますよ』と警告を出すシステムをつくるのに技術的困難はまったくない。『ここまで前震が活発化したら警告を出す』という値をあらかじめ決めておいて、あとは従来通りの観測体制で見守っていればいいのですから」

関係者が青ざめたのは、この地域で博士らが用いたデータが、何も特別なものではなかったからだ。彼らが利用したのは気象庁も観測している、ごく一般的な地震計のデータだった。実際、東日本大震災の直前には2月13日から地震活動の活発化が起きていた。M5以上の地震だけでも4回もの地震が震源地域で起きていたのだ。さらにブジョン博士が指摘した震災2日前の地震後は、継続的に地震が続いていた。気象庁はこれについて、「震災2日前の地震の余震かもしれず、前震とは区別がつかなかった。前震は本震が来てみないと、そうだったかどうかわからない」としているが、そもそも前震は分からないものだという思い込みが、目を曇らせていた可能性がある。

この論文を気象庁はどう受け止めたのか。「この論文の結果は、多くの地震のデータを集めて研究することで初めて分かったもの。結果論であり、実際にどこかで地震が活発化したときに、あらかじめ大きな地震の前震であるかどうかを見分ける方法を述べたのもではありません」あくまで予知には役立たないと否定的だ。

確実な前兆がある

それもそのはず、実は1995年の阪神・淡路大震災以降、日本の行政も学会も、予知研究を真面目にやる気がまったくなくなっていた。当時大地震を予知できなかったとの批判を受けて、政府も学会も自ら予知研究を放棄し、責任を追及されないための体制を作り上げてきたからだ。なにしろ、気象庁には、独自に地震予知を研究する権限がない。大学の地震研究者に研究費をつける文部科学省の地震・防災研究課長は2008年以降、代々が農林水産庁からの出向。地震や防災とは縁もゆかりもない官僚で、最先端の研究など知る由もない。

そして2012年10月にはついに日本地震学会が「地震予知検討委員会」を廃止すると発表した。挑戦しても失敗すれば責任問題になるだけの地震予知から、誰もが目を背けようとしているのだ。だが、そうしている間にも、南海トラフの巨大地震は確実に近づいている。南海トラフ大地震は最大で死者32万人、経済的損失220兆円、被災者950万人という途方もない被害をもたらす大災害だ。

震源地域は大きく3つに分かれており、駿河湾から静岡県沿岸部の沖合を震源地とする東海地震、愛知県〜和歌山県沖を震源とする東南海地震、和歌山県〜高知県沖を震源とする南海地震がある。この3つが連動して起こる3連動地震が発生すれば、名古屋、大阪の大都市圏や、太平洋沿岸の工業地帯などが最大震度6強〜7の揺れに襲われ、さらに場所によっては30メートルを超える巨大な津波の襲来を受けて、日本の社会・経済はいっきに崩壊寸前の状況に追い込まれる。この南海トラフ巨大地震の前兆も、東日本大震災と同じように見過ごされてしまうのか。それは絶対に避けなければならない。実はすでに予知研究を行なっている科学者の中には、この南海トラフでの大地震の前兆をとらえているかもしれない、と話す研究者がいる。

「2013年に入ってから、震度5弱以上の地震はこれまで8回ありましたが、そのすべてについて我々は異常を検知しました。昨年は震度5弱以上の地震16回のうち、12回で異常を発見しています。ですから、昨年は75%、今年は今のところ100%の確率で予測が当たっていることになりますね」そう語るのは、測量学が専門の村井東京大学名誉教授だ。村井氏らは、国土地理院の設置しているGPS観測網を利用して、独自に地震の前兆をとらえる試みを行なっている。

たとえば、東日本大震災の前に、宮城県牡鹿半島に設置されたGPSが、3月11日の数日前から、大きく大地が動いていたことがわかる。村井東京大学名誉教授は「我々が使っているのはGPSです。昔は山の上には測量のための三角点というのがありましたが、現代ではその代わりに国土地理院の電子基準点(固定GPS受信局)が全国に1270カ所に設置されています。GPSというと、カーナビなどをイメージされるかもしれませんが、カーナビの誤差は1〜数mです。一方この電子基準点の誤差は数mmで非常に精度が高いのです」

この高性能の電子基準点が、地震の前兆をとらえていたという。「私たちは約160回分の地震時のGPSデータを調べ、地震が起こる前の段階で変動が起こっていることを突き止めました。あまり小さな地震では前兆がとらえにくいのですが、M6以上のものならJPSでとらえることができます」


『週刊現代』8.17


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