加藤のメモ的日記
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| 2013年04月22日(月) |
病院で殺されないために�� |
清風荘病院特別顧問天野恵子医師が語る。「昨年、日本でもガイドラインが改定されて、診断上の性差の問題は解消されましたが、実際はまだほとんど浸透されていません。本来、日本動脈硬化学会の医師たちが、このことを声を大にして言ってくれないとだめなんです。講演会などがあっても彼らは言わない。製薬会社がスポンサーだからでしょう。これが一番の問題だと思っています」
すべての医師が、カネ儲け主義であるわけでは決してない。現場の医師たちは、そこまで考えて行動する暇がないというのが現状だろう。だが、病気を予防したい、早期発見をして治してあげたいと、患者に向き合う医師がいる一方、医療政策や製薬会社も含めた大きな規模での動きが、病人を増やしてしまっていることは否めない。
松本医師は、ちょっとした異常でもあたかも「病気」のように名前をつけて扱うことに問題があると指摘する。「高血圧も高脂血症も高尿酸血症もそうですが、これらは高血圧状態、高脂血状態、高尿酸素状態というべきであって『症』ではない。病気ではないんです。にもかかわらず、いかにも病気らしい名前をつけ、基準値を厳しくすることで、患者を増やしてしまっています。血圧について言えば、そもそも人間は老化につれて動脈硬化を起こすものですし、血管壁も硬くなる。そのため、血圧をあげて血液を循環させることは、生命維持に必要なことでしょう。60歳ごろから最高血圧が220あったけれど、95歳で大往生した患者さんもいました。年齢とともに、数値が上がっていくのは、病気ではなく自然なことなのです」検査結果の数値だけに惑わされて、病人になる必要などない。
本当はここまでなら大丈夫。 医師が自分で使っている「正常値」
「この30年間、私は健康診断を一度も受けていません。1985年ごろに体調が悪くなって一度採血したことがありますが、やったのはそれだけです」こう語るのは慶応大学医学部放射線科の近藤誠医師だ。氏は、「健康診断には意味がない」とまで言い切るが、多くの検査項目の「有効性」が根拠薄弱だということは、厚労相の「最新の科学的知見に基づいた保険事業に係わる検査研究班」の研究結果にも、はっきり表れている。同班が代表的な検査の24項目を調べたところ、なんと16もの項目が、有効性を証するに足る「証拠がない」「無意味」「不適切」となったのである。
たんに意味がないというだけではない。有害だという声が医師サイドから多数出ているのだ。「基準値を厳しくすると『病人』が増えるので、薬の使用量も増えます。薬漬け医療で怖いのは副作用。起こらなくてもいい病気が起こってしまうんです」(岡田医師)例えば、高血圧と診断されて降圧剤を飲む。すると、それまで何ら症状がなかったのに、意欲が減退する、ふらふらする、脳梗塞や心筋梗塞のリスクが高まるなどの副作用が生じる可能性が指摘されている。
「それでも国民の健康のために健康診断は必要」といった言い分を真っ向から否定する興味深いデータもある。フィンランドで行なわれた75歳から85歳までの被験者の血圧と5年生存率を調べたデータだ。例えば80歳の場合、最高血圧が120以下のグループから180超のグループまでのうち、最も生存率が高かったのは180超のグループで、最も低かったのは121〜140のグループだった。
また、中年の管理職1200人を対象に行なわれた調査では、Aのグループは、定期的に検査を行ない、生活指導で高血圧が改善しない場合は薬を出して綿密なケアをした。Bのグループは何もせずに放置した。そのうえで15年を追跡調査してところ、より多くの死者が出ているのはAグループだった。皮肉にも、健康に気を使い、医療によるケアをしている人の方が寿命が短いという結果が出てしまったのである。健康診断で提示される基準値が信用に足るものではないということは、述べた通りだが、数値の真実を知る医師たちはどの程度の数値を「正常」の目安としているのか。
年齢とともに数値が上がっていくことは自然なこと、と主張するのは松本医師の意見はこうだ。「最高血圧は昔から用いられていた〈年齢+90〉を基準にするのがいいと思います。最低血圧は110くらいでしょう。
前年の数値と比較する
岡田医師は、数値を知ることで病気の予防に直結するものに限っては、目安として検査を定期的にしておくのが良いという。「それは血糖値と血圧、コレステロール値です。これらの数値が上がっていたら、生活習慣を改善して数値を下げれば、心筋梗塞や脳卒中などの病気が発症するのを予防することができるのは明らかなのですから、目安にするのはいいでしょう」
父親からの遺伝で、自身も血圧が高いという中原医師の目安はこうだ。「僕自身はいつ計っても血圧が170になって初めて薬を飲むようになりましたが、一般には160を超えるようになってからで十分です。130は薬を飲むには早すぎます」そんな中原医師が勧める「正常値」を表に記した。これは70万人ものデータを分析したものだ。このデータによると、60代の男性の場合、通常の基準では最高血圧が140以上であれば高血圧とみなされていたものが、165までは問題ないということになる。毎日血圧を計って、数値の上下を気にして人にとっては、嬉しい情報ではないだろうか。
だが一つ注意しておくべきことがある。東京メトロ株式会社の鶯崎医師はこう説明する。「基準値は誰にでも当てはまるものではないですし、単純に基準値の内か外かにこだわるのではなく、個人個人の数値を時系列で見ていくことが大切なんです。去年と比べて明らかに数値が上がっていたら、何か異常が出ている証拠かもしれない。そういう意味では、定期的に検査をすることも必要。また、基準値に固執せず、患者さん個人の数値の変化を的確に見極められるホームドクターにかかることも大切だと思います」
数値に一喜一憂することなく、自分の体の変化を把握しなければ、検査も意味のないものになってしまうのだ。
『週刊現代』4.20
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