加藤のメモ的日記
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2012年11月10日(土) 中国が仕掛ける日本への経済封鎖 ��

売り上げだけではない。部品や原材料などを中国で生産している企業、例えば100円ショップや製薬会社は、製品の根幹部分を調達できなくなってしまう。もっとも大きい損害を被る代表例はユニクロだろう、と前出の経済記者は推測する。「売上高1兆円を目指すユニクロは、公表こそしていないが、ヒートテックやウルトラライトダウンをはじめとする製品のほとんどすべてを中国で生産しています。急速なスピードで世界展開を進めているユニクロですが、もし中国から排除されれば、そもそも『売るものがない』状態になってしまいます。そうなれば今後営業活動を続けることは不可能になります」

中国で反日暴動が起こったとき、店頭に「支持魚釣島是中国固有領土」(尖閣は中国のもの)という紙を張ったり、逆風の吹く中で、あえて9月下旬に上海店をオープンさせたりといった行動に出たのは、ユニクロが中国なしでは成り立たないということの証左なのである。このように、中国に「命綱」を握られている企業は、経済封鎖が行なわれれば、一瞬で「生命停止」となってしまうのだ。やはり、勢いで勝る中国と「経済戦争」を戦えば、日本は完膚なきまでに叩きのめされてしまうのだろうか。

だが、中国経済に精通する専門家の間からは、「中国にとって対日経済制裁は両刃の剣。むしろ中国の方が大きな経済的損害を被るのではないか」との声が聞こえてくる。ビジネス・ブレークスクール大学教授で、中国経済に詳しいエコノミストの田代氏は、「中国には日本企業を追い出すという選択肢はとれないはずだ」としてその理由を次のように説明する。「2011年の中国の輸出額は1兆8986億ドル。これは世界1の数字だが、中身を分析してみると、うち52%の9953億ドルは、中国国内にある外資系企業関連の輸出によるものです。この数字を見れは中国がいかに外資に頼っている国かがよくわかるでしょう。しかも中国でまともに法人税を払っているのは外資系企業です。こうした情況下で日系企業を追い出せば、生産面でも雇用面でも中国側が受けるダメージは非常に大きいはずです」

田代氏は続けて、「中国は日本の技術を欲しているため、そう簡単に”日本切り”等できるはずがない」とも指摘する。「日本企業にとって中国の魅力は、発達した産業インフラと広大な市場。一方の中国は、「世界の工場」とは言われるものの、やはり技術的にはまだまだ未熟なのです。中国が今特に欲しがっているのは、日本の中小企業が持つ技術です。図面を入手しても、その通りの製品をつくるには熟練した職人の技術が必要です。その点では日本の方にアドバンテージがあるのです」

共産党が倒される

中国情勢に詳しいジャーナリストの富阪氏も、中国の対応に世界の視点が注がれている今、経済強硬策を取れば世界が中国を見放すだろう、と指摘する。「今後中国は、中国に進出している日本企業のうち、あまり中国に利益を還元していない企業に対して、税の徴収を強化する、あるいは工場を造る際の設置基準を厳しくするなどの措置を取ることは考えられる。しかし、あまりに締め付けを厳しくすると、欧米諸国が『チャイナリスク』を強く意識するようになり、中国への投資に慎重になってしまいます。それは中国にとって大きなマイナスです」実は、水面下で始まっている「日中経済戦争」において、日本はすでに勝利を収めている、という見方もある。毎月中国を訪れ、各地を取材しているジャーナリストの宮崎氏はこう指摘する。

「中国での日本製品不買運動や訪日観光客減ばかりが報じられているが、訪中する日本人も急速に減っており、北京や上海で流行っていたナイトクラブでも、上客だった日本人が来なくなったので、閉店が相次いでいます。また日本の投資家が、中国株の投資信託を次々と解約しており、9月だけでも300億円近くが解約されたといいます。中国経済の一つの指標となる『上海総合指数』は、今年9月に2000ポイントを下回りました。これは5年前の3分の1以下で、いかに中国経済が疲弊しているかを物語っている。その上日本からの投資が減れば、中国の経済はさらに減速してしまうでしょう」

10月18日に中国国家統計局が発表した7〜9月期のGDPは。、前年同期比で7.4%。成長率は7四半期蓮速で低下の一途を辿っている。長期的な景気減速に直面している中国のホンネは、「これ以上マイナス要因を増やしたくない」というところだろう。宮崎氏はさらに、「日系企業が現地で多くの中国人を雇用しているという事実を見逃してはいけない」と指摘する。「日本企業が雇用している中国人は1000万人以上です。下請けなどの間接雇用も含めれば、3000万人から5000万人ともいわれるが、この半分でも失業したら、中国の治安は大混乱に陥るでしょう。その不満は日本に向かうのではなく、中国政府に向かいます。そうなれば中国の政権は倒れることになる。確かにやせ我慢をすれば、経済的な面では日本を排除することが可能かもしれない。しかし、その結果体制が揺らぐようなことに繋がるのなら、結果的には中国が受けるダメージの方が大きいでしょう」(宮崎氏)

国内の不満を収めようと日本企業を痛めつければ、今度は別の不満が噴出する。中国政府は、深刻なジレンマを抱えているのである。もし熾烈な日中経済戦争が起これば、それは「勝者なき戦い」となるだろう。」中国経済の専門紙『中国経済新聞』は10月15日、「対日経済制裁は中国の利益にならない」と題した社説を掲載したが、はたして中国の指導者たちはこうした冷静な声を受け止めることができるのだろうか。


『週刊現代』11.3


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