加藤のメモ的日記
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| 2011年07月21日(木) |
候補地が見つからない |
FUKUSIMA以降、原発は世界中で「疫病神」扱いされるようになった。一方、「クリーンかダーディーか」という論議では、争点とし使用済み核燃料の問題が常につきまとう。日本の場合、核燃料は原子炉で2年半〜3年間燃やされ、完全に燃焼したと思われるものは定期検査の際に取りだされて原子炉建屋内などにある貧弱なテンポラリーのプールで冷却される。その後10〜15年経ったらキャスク(使用済み核燃料の輸送容器)に入れて中間貯蔵施設に運び、青森県六ケ所村の再処理工場でプルトニウムと燃え残りのウランを科学的に分離して分離して回収する。
それを加工してMOX燃料を作り、再び通常の原発(軽水炉)で利用する。このプロセスがプルサーマルによる「核燃料サイクル」だ。再処理後に残る高レベルの放射性廃棄物は、ガラスで固めて地下深くの永久貯蔵施設に埋める予定となっている。
ところが、まだ国内には中間貯蔵施設も永久貯蔵施設もない。青森県むつ市で建設中の中間貯蔵施設は工事が遅れに遅れているうえ、容量が800トンと全く足りない。おまけに東日本大震災後に工事が止まっており、二期工事の400トンもスタートできるかわからない。
一方、永久貯蔵施設は候補地すら見つかっていない。来年10月稼働予定の再処理工場も、完成が遅れ続けている。このため日本の使用済み核燃料は、英仏で再処理された一部を除き、各原発に保管されたままになっている。いわば、マンション(原発)で暮らす住人(原子炉)にはトイレ(貯蔵施設と再処理工場)がなく、汚物(使用済み核燃料)が室内に溜まり続けている、という状態なのである。このような状況が続く限り、原子力はダーティーエネルギーといわざるを得ないだろう。
高レベル放射性廃棄物の海外・海洋投棄は、有害廃棄物の国境を越える移動と処分を規制したバーゼル条約及び放射性廃棄物の海洋投棄を制限したロンドン条約により禁じられている。となると、使用済み核燃料の貯蔵地候補は二つしかないと私は考えている。一つは福島第一原発だ。高濃度の放射能に汚染されてしまった福島第一原発から5キロ圏内については永久放棄せざるを得ないだろう。その中には7・8号基の建設予定地が空いているので、そこに永久貯蔵施設をつくのだ。もう一つはロシアである。日露平和条約を結び、シベリアのツンドラ地帯を貸してもらうのである。
そして今後20年ぐらいでい既存の原発に寿命が来た時には、日本は「脱原発」国家に向かうしかないだろう。新規の原子炉はもう造れない、と見たほうがよい。だが、20年間あれば節電国家に生まれ変わることができるし、代替エネルギーへの移行も現実的な選択肢となる。こうした日本の未来を左右する極めて重大な問題について、原子力利権や電力利権にとらわれることなく国民の前で堂々と論じる政治家とメディアの登場が待たれている。
『週刊ポスト』
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