加藤のメモ的日記
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2008年04月27日(日) 大蔵官僚のキャリアとノンキャリア(2)

A)あなたの勇気に敬意を表するとしてですね、あなたも東大法学部卒で、国家公務員試験を受かってきた典型的な大蔵官僚なわけですよね。どうですか、これほど大蔵省の接待汚職が噴出して、やはり東大法学部卒大蔵省といったコースとその価値観がもう時代に合わなくなってきたと思いませんか?
B) そうは思わない。我々も今は言いたくでもじっと耐えている。我々は古武士であるという矜持があるから。

A) 大蔵官僚は古武士なんですか?
B) そう。

A) 受験秀才ばかりかと思っていたけど。この前名前は明かせないんですが、ノンキャリアの人に来てもらったんですよ。
B) ああ、そうですか。

A) キャリアの方から見てどうですか、ノンキャリアの人たちって。
B) ノンキャリアというと基本的に普通の人ですよね。どういう意味で普通かというと、まず、今の東大法学部というのは、普通は親の平均年収が1200万とか言っているでしょう。平均でそれだから、普通は1400〜1500万円以上の家庭の子供ばっかりになっているわけです。現在の受験競争からしても、相当ちっちゃい頃から特別な教育を受けてないとなかなか入れない仕組みになっているでしょう。ノンキャリアっていっても、高卒は例外で、例えば、早慶とか地方の国立大学とか、まあ、とにかく普通の人ですよね。

A) 僕は前回の本で感じたんですが、やっぱりキャリアの感覚というのは、特に大蔵のキャリアの感覚というと、普通の人の想像を絶しているわけですよね。
B) それはあるのかなあ。



A) 特殊法人にしても、天下っていくためにつくったみたいなのがいっぱいあるわけですよね。
B) 大蔵省のいわゆる天下りはたしかに、他の省庁に比べると質量ともにずば抜けていますよ。

A) ノンキャリアの人たちもですか。
B) もちろん。言葉は悪いけど、不満を抑えるためにはエサを与えなきゃいけない。そのエサは大蔵省のノンキャリアになれば、ほかの、例えば経済企画庁のノンキャリアに与えられるエサとはぜんぜんケタが違うわけですよね。ノンキャリアは不満を持っていると漠然といわれるだけであって、具体的な不満話が出てこないのは、実はノンキャリアもちゃんと大蔵省ならではの特殊なエサを与えられているからなんです。

A) 特殊なエサ?どんなエサなんですか?
B) 民間に行く場合は、例えば中小の金融機関や中位程度の地方銀行だったら、ノンキャリアでもうまくいけば役員ぐらいになれるわけですよ。そうすると、普通の大学を出て大蔵省を経由しないで、例えば、横浜銀行に入って役員になるっていったら大変なことですよね。それがポンと行けるわけでしょう。地銀のヒラ取ぐらいにはポンとなれるわけで、そのメリットはものすごいから、文句を言うやつはいないわけですよ。

A) 前に会ったノンキャリアの人はかなり不満がありましたよ。
B) 結局誰が文句を言うかというと、今回みたいに逮捕されちゃったりした人が、出所したときは本当は怖いわけです。

A) 本音が出ましたね。

   
『大蔵官僚の復讐』


加藤  |MAIL