加藤のメモ的日記
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2004年04月25日(日) 沿道汚染

現在、日本で胃がんの死亡者は年間5万人前後で推移し、近年は漸減傾向にあり5万人以下の数字で止まっている。しかし肺がんは数あるガンの中でも急増している。肺がんによる死亡者数は1970年は1万3000人、80年は2万4000人、90年は4万人弱である。タバコを吸う人の数は減っているのに、肺がん患者の急増ぶりは医療関係者の注目するところとなっている。20年前に比べ大腸がんは約2、8倍の伸びを示しているが、肺がんの急増率はそれを凌いでいる。

原因はディーゼル車の排出する黒煙といわれている。ディーゼル車の増加が激しく、その排出ガスが喫煙者の減少による肺がん減少の効果を打ち消し、なお喫煙を続ける人に相乗的な効果を発揮して、肺がんを急増させているのではないかといわれている。

このディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりも燃費が良く、価格も軽油のほうがガソリンよりも安いので、トラックはほとんどディーゼルエンジンとなっている。

ガソリンエンジンが1リッター当たり15キロメートル走るとすると、ディーゼルエンジンは約20キロメートル走る。ディーゼルエンジンは1892年にドイツで発明された。ディーゼルエンジンの燃料効率は、同性能のガソリンエンジンと比べて約30%ほど優れているといわれる。戦車のエンジンにも使われている。価格は産業優先の政策から、ガソリンより軽油のほうが安く設定されている。発がん性が高いと恐れられているのはトラックの排出するガス、黒煙で、この中の粒子状物質が恐るべき存在だとみなされている。

国際ガン研究機関は、アルコール飲料やベンゼンを発がん性のある物質とし、次のランクはディーゼル排気をあげている。ニコチンは次のランクで、コーヒーはさらにその次のランクに位置している。ニコチンは青酸カリとほぼ同じランクに位置している。しかし哲学者の谷川徹三氏(詩人谷川俊太郎の父)は、90歳で死ぬまでタバコを吸っていたそうだ。

近年の大気汚染物質としてしばしば取り上げられているものは、二酸化窒素などの窒素酸化物であり通称ノックスと呼ばれている。それとソックスと呼ばれる硫黄酸化物で、両方ともトラックの排気ガスに含まれている。これらとゼンソク、肺がんの関係は密接な関係にあるという。石原東京都知事は都内のトラック、バスの排気ガスを規制した。大気汚染度のナンバースリーは東京都白金である。白金は沿道汚染の町の典型である。

マスクは気休めに過ぎない。マスクと顔の隙間から、排気ガスや花粉などは空気と一緒に入り込む。しかし鼻や気道には毛が密生していて、10ミクロンの大きさのものまでせき止められる。1ミクロンとは1000分の1ミリだから、100分の1ミリ以上の大きさのものは、肺の中には入っこない。沿道の高層マンションに住む人達に救いがないというわけではない。地表近くの汚染された空気は上昇し、上空の冷たい空気と循環をたえず行なっている。

しかしディーゼルエンジンの排気ガスと、肺がんの急増ぶりとの因果関係は否定しようがない。肺がんは末期は呼吸が思うようにできず息苦しく、痛みの激しいすい臓がんと共に医療関係者がかかりたくないガンといわれてる。すい臓がん、肺がん、肝臓ガンは共に難治のガンといわれている。また、肺がんは老人のガンといわれ60歳代が一番多く、次いで70代、50代といわれている。



『沿道汚染』


加藤  |MAIL