子の年齢:4歳10ヶ月
12月特有の大きな三日月が、よく晴れたたそがれの空に低くかかっていた。すぐ上には煌々と輝く宵の明星。少し暗めの惑星がもうひとつ、火星かな? まるで映画配給会社のDreamWorksのロゴのような繊細な美しさ。 保育園の門を抜けながらちーちゃんに、「ほら。今日はお月さんがキレイだよ」と指差した。 するとちーちゃんは、得意そうな顔をしてこう言った。 「ママにはバナナのお月さまだけど、ちーちゃんには、丸いくろいところも見えるよ。」 えっ? そういえば、新月もよく目を凝らしてみれば見える、と聞いたことがある。 私は生まれつき弱視だった訳ではないが、月の暗い部分を肉眼で見たことはない。 「本当に見えるの?」 「うん、だってほら。」 言われてみれば見えるような気もするが、見たとは言いきれない。知識で視力を補っているだけのような気がする。 「スゴイな。ちーちゃんは科学者の目を持ってるね。」
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