子の年齢:4歳6ヶ月
夕食を食べてテレビを見ていると母が電話をかけてきた。グラウンドでセミが羽化するので迎えに来ると言う。
送り出そうとすると、「あんたは?」 「え?私したいこと沢山あるもん。」 「ちょっとの時間やぜ。」
ちょっとの時間て何分までのことなんだ? とにかく後から行ってみると、今日はちょっと数が少ないとのこと。 穴から出てきた幼虫を1匹見つけたので、木の幹に止まらせ、観察しているが、なかなか背中が割れる様子がない。
そのうちにちーちゃんがひっくり返っている幼虫をもう1匹見つけてきた。 幹につかまらせるが、何度も落ちる。足が弱いからひっくり返っていたもののようだ。 松の木の皮は感覚が大きいので、つかまりにくいのかもしれない。家のカーテンならうまくつかまれるかも。
そんなことを思っているうちに管理人の人がナイター設備を消灯し始める。おい!何がちょっとの時間だ!結局羽化するのは見れなかったじゃないか。
仕方なくその足弱の幼虫を連れて家に帰るが、カーテンにつかまらせても何度も落下する。 二人とも心配で風呂にも入れない。 「ねえ、これどうする?」 「どうするって言われたって。明日の朝には死んでるか成虫になってるかどっちかだよ。」 「死んだらどうするの。」 「ゴミ箱にポイって捨てるの。」 「・・・。」
死んだセミの幼虫をゴミ箱にポイするのはダメらしい。 「じゃあ、明日の朝早起きして、ばーちゃんの畑に埋めてあげればいいでしょ。」 果たして翌朝、セミが気がかりでいつもより早く起きていた。 セミは案の定床に落ちていた。頑張ったのにね・・・。背中が少し割れているが、そこで力尽きたようだ。 ばーちゃんの畑に穴を彫って埋めてやる。ついでにキュウリとトマトも失敬。 「ねえ、これじゃあどこ(がお墓)かわからんよ。」 「じゃあ棒でも立てておけばいいでしょ、グサ」 「あ、セミに刺さった!」 「刺さってないよ!」 それはもう、おおさわぎである。 セミさん成仏してください。
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