逃げればいぃよ |
僕の右手が彼を掴んで、 彼が僕の右手を掴む。 彼は笑って理由を問うから、 僕は睨んで話題をそらす。
紅い血が、溢れる。 僕は自分が少女だったことを思い出す。 流れて流れて、彼はその溢れる血に、侵される。
僕は気付く。 僕は彼に犯されてるんじゃない。 僕が彼を食しているんだ。 流れ出た血は僕と彼のもの。
僕は彼を愛してる。 皮膚の一欠片だって、 彼を構成した一部分。
それは歪んだ愛情表現で、 彼は僕に爪をたてる。噛みつく。 だから僕はその指を、食べてしまいたいくらいしゃぶりつくすのさ。
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2007年06月05日(火)
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