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2005年09月18日(日) ■ |
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「大統領の理髪師」は80点 |
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監督 : イム・チャンサン
出演 : ソン・ガンホ ムン・ソリ リュ・スンス イ・ジェウン チョ・ヨンジン ソン・ビョンホ パク・ヨンス
この息子はどうやら私と同年代らしい。この息子が27歳になるまで、韓国という国は独裁政権の国でとても怖い国だということが宣伝されていた。なるほど下痢しただけで「マルクス病」だとレッテルを貼られて、拷問にあったりしたのだから、怖いことは怖いのであるが、庶民はそれほどびくびくしながら生きてきたわけではなく、大統領の髪を刈っても別段庶民の暮らしをそのまましていたのである。
朴正熙という大統領はあまり独裁者でひどい人物には描かれていない。その一方で、朴大統領暗殺後のどたばたで大統領になった全斗煥に対しては辛らつである。これはもしかしたら韓国庶民の偽らざる感情なのかもしれない。
この映画は79年で終わる。しかし、実はこのあと8年が激動なのではあるが、理髪師を辞めた以上はここで止まるしかなかったのだろう。つくづくガンホの笑顔は素晴らしい。
しかし、韓国の人たちの歴史の描き方の成熟していること。「ペパーミントキャンデー」にしても「殺人の追憶」にしても「ブラザーフッド」にしてもちゃんと自分の血肉にしてから、庶民の視点で、そしてちゃんと時代を見据えて映像にしている。日本の映画でこれが出来ているのはあるだろうか。山本薩夫に若干あった気がするが、庶民の視点に徹底しているのはなかった。チャン・イーモウの「活きる」にしても時代観が素晴らしい。日本人の歴史観について、いろいろ中国・韓国から言われるのも、全然根拠のないことではない。 (05.07.10)
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