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2005年08月16日(火) ■ |
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「生きる意味」 上田紀行 |
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「生きる意味」岩波新書 上田紀行 今このとき私はこの本を手にしたのが、偶然だとは思わない。私自身がこの春『生きる意味』を探して新しい旅に出たのではあるが、じつは日本や世界自体が、『生きる意味』を探しているのである。
生きるということは『わくわく』することである。苦悩は『わくわく』の種である。−−−−−おそらく表現は違うとは思うが、この本で書かれてある生きる意味を私はこのように受け取った。そういう記述を読むことで「もやもや」していた私の気持ちをすっきりさせることが出来た。と、同時にここではグローバリズムや、構造改革に対する簡略で的確で全体的な批判が述べられており、自分の内面も振り返ることが出来ると同時に世界全体のことも概観することが出来る。
人は、生きるためにはそのように個人と世界を常に往復することが必要なのではないだろうか。
この本が哲学者からでもなく政治学者からでもない人物、文化人類学者から出てきたというのは、ボーダレスの世の中にあっては必然だったのではあろうが、しかし、貴重である。
この本が求められる世の中というのは不幸である。しかしこの本が無視される世の中ならそれはもっと不幸だ。 (05.07.15記入)
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