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2005年07月25日(月) ■ |
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『ルポ戦争協力拒否』 吉田敏浩 |
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『ルポ戦争協力拒否』岩波新書 吉田敏浩 二つの特徴がある。ひとつは、この間加速度的に現実味をを帯びてきた『戦争のできる国』の背景を非常に良く勉強しており、これ一冊だけで簡単なレジメが出来るような内容になっている(91年PKO協力法から04年有事法制の内容、政治家の問題発言、自衛隊装備の紹介等)。ひとつは、昨年末までの情勢、ならびに背景、ならびに当事者の声を精力的にひろっていて、まさに速報性が重視される『ジャーナリズム』の要請にきちんと応えているということである。
自衛隊員や、企業の従業員は『命令』を拒否できるのか、出来るとしたらその根拠はなにか、学者の研究を待つようでは遅すぎる。法律家や運動家に聞いて、『拒否できるのだ』と示しているのは現代の希望だろう。まだ『命令』自体が自分に降りかかるとは思っていない国民がほとんどの御時勢、『今闘っておかないと手遅れになる』と自覚的に運動している人たちを丁寧に紹介している。また、チラシを配っただけで逮捕する相手側の法的根拠はなにか、その根拠の矛盾などを紹介して『しのび寄る統制の足音』に警笛を鳴らしている。
「(たとえ自衛隊の任務を格上げしても)憲法九条がある限り、自衛隊の主たる任務を防衛出動の範囲以上にまでは拡大できない。憲法は軍法会議も認めていません。」「海外派遣を断っても、その行為を受け入れる世論があれば、自衛官も家族も孤立感を感じずに『行きません』と断ることができる」ある運動家のこの指摘は重要だろう。
と、いうことで簡単なレジメを作ってみました。 つまりこの本の概略で、学習用のメモです。
《戦争のできる国へ》 1980『武力行使の目的を持たないで部隊を海外に派遣することは憲法情許されないわけではない』 1991ペルシャ湾へ機雷掃海艇を 1992PKO協力法 2001・10「テロ対策特別措置法」わずか三週間で成立「停戦の合意」や「中立的な立場の堅持」は脇に追いやられ、米軍への兵站支援。初めて戦時に自衛隊海外派遣に。 2003・7「イラク特措法」外国領土へ陸上部隊や航空部隊が。米英軍への兵站支援も。 2004/6/27小泉党首討論会で『集団的自衛権を行使できない。それはかしい。憲法を改正すべきだ。』わざと政府見解と違ったことを言ってみせる。 2004/7/21アーミテージ米国務副長官『憲法九条が日米同盟関係の妨げのひとつになっているという認識はある』 2003・4経済同友会改憲意見書「集団的自衛権の容認」「場合によっては米軍とともに海外で武力行使をするべき」 アメリカにとって都合のいい国際秩序つくり イラクの国連決議違反を非難する一方で40以上のイスラエル非難決議はアメリカが拒否権で葬ってきた。(ダブルスタンダード)独裁者だと非難するが、、チリのピノチェト、パナマのノリエガ、フィリピンのマルコス、インドネシアのスハルト、現在はウズベキスタンのカリモフ、絶対王制のサウジアラビアやクウェートも支援している。
1999周辺事態法2003有事関連三法2004有事関連七法 『アメリカが起こす戦争に日本が荷担することで、それが飛び火して『日本有事』になる。政府は自衛隊を参戦させ、国民を統制し戦争協力をさせようとする。こが最も起こりうる「有事」だ。』
2004/11自民党改憲草案『徴兵制は容認しない』『国民は国家独立と安全を守る責務を有する』『首相は国家緊急事態を布告できる。そのとき国民の基本的権利、自由は最小限制限できる』その後撤回。
→これらの動きを、国民は自覚していないが、アジアの国民は自覚している。05年反日運動に繋がる。
《自衛隊は命令を拒否できるか》 2003/3/20旭川市でのイラク派遣。護国神社の絵馬には『イラク派遣無事帰国できますように』『サーヤが無事イラクから帰ってきますように』遺書を書いて出発する隊員が何人もいた。 2004/12/10『防衛計画の大綱』自衛隊法を改めて海外任務を本来任務に格上げさせるという文章。現在はあくまで付属任務。命令を断る法律根拠はある。
2004自衛隊軍事力。隊員238,579人。軍事費4兆8764億円。世界でもアメリカ、ロシアに次ぐ額。補給艦の大型化(「とわだ」「ましゅう」「おうみ」)。ヘリコプター空母型護衛艦が2隻作られる予定。事実上の軽空母。最新鋭型のイージス護衛艦二隻もつくられる。(戦車10両と330人、強襲上陸用船艇二隻)強襲揚陸艦三隻はすでに配備(「おおすみ」)「空飛ぶ指令塔』AWACSは2000年から配備。C−1輸送機の後継機大型輸送機CXを開発中。2010年完成24機導入予定。6500キロの航続距離を持つ空中給油・輸送機KC−767も四機2006年より導入。←これは『専主防衛』にふさわしくないと近隣各国の警戒感を呼び起こしている。軍事偵察衛星も二基2003年に打ち上げた。
(たとえ自衛隊の任務を格上げしても)『憲法九条がある限り、自衛隊の主たる任務を防衛出動の範囲以上にまでは拡大できない。憲法は軍法会議も認めていません。」 『海外派遣を断っても、その行為を受け入れる世論があれば、自衛官も家族も孤立感を感じずに『行きません』と断ることができる』
増える自衛体内での自殺。人権侵害の事例が増えている。『どんな組織でも常日頃から人権が保証されていなければ、ましてや有事に人権が保証されるはずが無い。』
《有事体制を拒否する人々》 200310/27国会答弁 自衛隊法民間に命令する『業務従事命令』『効力が及ぶのは対企業までであって、そこから先は労働基準法の分野になる。』←ここでも『拒否できるのだ』という世論の喚起が大切←根拠1968『千代田丸事件最高裁判決』憲法第19条『思想心情の自由』
2005国民保護法にもとずく住民訓練を行う予定。
《自由にものも言えない社会に抗して》 2004/2/27立川チラシ配布逮捕事件 75日の拘留の後仮釈放。12月地裁無罪。政府控訴中。『住居進入罪』 2004/3/3『赤旗』号外配布事件 社会保険庁職員「国家公務員法」33年間起訴されることは無かったのに。 2003/4反戦落書き事件『建造物損壊罪』04/2有罪。04/9控訴破棄。最高裁に上告中。
《戦争の加害者にも被害者にもならない》 (05.05.11記入)
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