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2005年07月09日(土) ■ |
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「リチャード・ニクソン暗殺を企てた男」は75点 |
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監督 : ニルス・ミュラー 出演 : ショーン・ペン ナオミ・ワッツ ドン・チードル 1973年、サム・ビックは、別居中の妻マリーと3人の子供を取り戻すため、事務器具の販売員として再就職する。しかし、不器用なサムは成績も伸びず、口先だけの営業を強いられることに不満を感じていた。ある日、裁判所からマリーとの婚姻解消通知が届く。新ビジネスのためのローンも却下され、追い詰められたサムは、ふとウォーターゲート疑惑の報道を耳にした。サムにとってニクソン大統領は、正直者が成功するアメリカの夢を踏みにじった男の象徴だった…。
サム・ビックと私は紙一重、ではない。妻に離婚を迫られ、人付き合いが下手で、思い込みが激しく、変な正義観を持ち、上司からはねちねちといじめられ、構造的な貧乏は容赦なく彼に忍び寄る。そうだからといって、彼は妻の恋人も殺せないし、上司も殺せない。怒りの矛先はゆがんだ正義観からニクソンに向かい、結果的には無実の人を何人か殺す。犯行前に思い通りに殺せたのは唯一自分に慕ってくれていた飼い犬であったというのは皮肉である。 彼と私はいっしょではない。断じてないと自信を持って言える。ただ、彼がかわいそうだ。可哀そうだ。あわれだ。 ミュラー監督は新人監督らしい。非常に手馴れた演出。次回作が楽しみ。 (05.07.06記入)
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