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2004年08月23日(月)
「静かなる謎北村薫」宝島社 「このミステリーがすごい!」編集部・編

オリンピックモードが終わった。
またいつもの日常に戻りたいと思う。
それにしても柔道は凄かった。
青春の日々、6年間、柔道をしていたものにとって、
至福の日々でした。

「静かなる謎北村薫」宝島社 「このミステリーがすごい!」編集部・編
デビュー15周年といいながら、今までに出た本の数は(アンソロジーを除いて)20冊である。寡作のほうに入るだろう。よって1冊づつの評論も可能だ。キャラクター分析、作品ツアー、キーワード事典など一応、ムック本としては揃っている。年表はいまいち。もう少し突っ込んだものが欲しかった。気に入ったのは「〈私〉と円紫」シリーズの〈私〉の出来事と本棚の年表。彼女が四冊の本の中で読んでいる本の題名は並べてみると凄いものがある。「エピクロスの園」(アナトール・フランス)を読んでいるのはまだいい。『ドン・キホーテ』をきちんと読んでいるのはさすが文学少女。『真珠夫人』(菊地寛)を読んでいるのは時代の先駆けといえるだろう。しかし『フローベルの鸚鵡』(ジュリアン・バーンズ)まで読んでいるとは。まったくもって「本の虫」である。いや〈私〉がではない。北村薫が、である。

ロングインタビューにおいて、北村薫は言う。「これは偶然なのですが、でも自分の深層心理としてはそうなのだろうと感じます。やはり『スキップ』の真理子は、『秋の花』の真理子が蘇ったと考えたいですね」北村薫もそう感じていたと知り、それだけでこの本を買った甲斐があったと思った。私はずっと密かにそうであればいいなと思っていたのだ。そうでなければ、真理子さんが17才から42歳にスキップしてもう帰れないという残酷な処置の理由が見つからない。

北村薫の全てを知るわけにはいかないが、多くを知ろうとするには必読の本である。