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2004年07月17日(土)
「夜消える」文春文庫 藤沢周平

「夜消える」文春文庫 藤沢周平
男と女は駆け引きである。騙そうとする。騙されまいとする。ー「誠実」のみが最後に勝利する、などとは決して言わない。「夜消える」で最後に誠実を示した飲んだくれの父親のその後を、私は決して幸せだとは思わない。
男も女も、もともとたいしたものではないのだ。愛息子を見殺しにしてしまった「永代橋」の夫婦。ー「救い」は?あり得るかもしれない。ない、などと誰が言えるだろう。
「初つばめ」では中年女の「酔い」を見事に描く。「遠ざかる声」では新作落語を聞いているみたいだった。愛しい市井短編集。(04.05)