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2004年06月24日(木)
「さつき断景」祥伝社文庫 重松清

「さつき断景」祥伝社文庫 重松清
阪神大震災と地下鉄サリン事件のあった95年から、2000年までの6回の5月1日を小説として寸描している。

その当時のテレビ番組や、新聞のスポーツ欄などを再現して、著者は明らかに読者である私たちを「挑発」している、ように私には思えた。問題はタカユキの恋の行方でもなければ、ヤマグチさんの家族への想いでもなければ、アサダさんの定年後の生活でもない。あの時の5月1日、あなたは覚えていますか。そう挑発しているのである。

私は覚えていなかった。何をしたかは少し調べればわかった。しかし何を考えていたか、何を悩んでいて、何を大切に思っていたのか、結局登場人物たちが思っているようには思い出さなかった。

1日1日を大切に生きろよ。著者は暖かく読者に話かけている。(04.03)