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| 2004年06月14日(月) ■ |
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| 「M」文春文庫 馳星周 |
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「M」文春文庫 馳星周 男の手による情念の小説である。凄いものを読んだという気がしてならない。これは男にしか書けない。ぜひ女性にも読んでもらいたい。 小池真理子や山本文緒が「恋の情念」を描くのだとしたら、馳は「欲望の情念」を描いている。どちらが上等でどちらが下等だという議論は不毛である。感情が揺れ動き、制御できなくなり、奈落に落ちていく心の状態を余すことなく描く。確かに描かれている事は少し「特殊な事例」ではある。しかし一方ではどこか「思い当たる」所もある物語。それは小説を読むときの醍醐味である。(04.02)
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