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2003年09月09日(火)
『座頭市』北野武監督

この日記は日記というよりは、私の読書ノート、映画ノート、旅ノートの統合版のようなものです。

『座頭市』北野武監督 ビートたけし主演
75点
基本を『面白いか』『面白くないか』ということに置くと
見事なB級映画であった、と言うことに気がついた。
『悪いやつはみんな死んじゃったねえ』と
まあ実はそういう物語なのである。

でも一番悪いのは、「市」なのだが、
そのことに気がついていても誰も言わない。
いつ居合で殺されるかわからないから。

傑作ではない。でも楽しめる作品だった。
    

以上が某掲示板に書いた文章であるが、
少し付け足します。

ネタバレ注意


この作品に、深遠な哲学を求めてはいけない。
市に「正義」を求めてはいけない。
彼が殺すのはやくざばかりではあるが、
市が「向かうところ敵なし」だとしても、
あの皆殺しはいけない。
『匂いでいい人間か悪い人間かわかる』そうだが、
あそこで殺されるのは明らかになんもわかっていないチンピラたちだ。

北野武は「不良」に対するなんとも言えない「優しい眼差し」が特長の監督だ。
もう一方で「不良」を突発的に殺す。
その線引きは非常に微妙だ。
今回の作品の線引きは、やくざなら所かまわず殺せ、だ。
時代劇だから、たかが外れたのだ。
それが時代劇なのだから、私はB級映画だといったのだが、
たけしらしくない、とも言える。

『楽しめる』作品であるが、私は嫌いな作品である。
盲目の市の世界をミュージカル的世界で味付けしたのはいいアイディアだ。