日々あんだら
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2009年11月05日(木) 松井

今日は仕事をしながら、ワールドシリーズの速報ページに繋ぎっぱなしにしていた。
速報をチェックする度に赤い太字で「ホームラン!」とか「タイムリー!!」って文字が躍っててびっくりした。
4打数3安打6打点。
1試合の打点数はワールドシリーズのタイ記録。
最後の打席に3塁打ならばサイクルヒット、ホームランが出れば打点新記録で、
仕事の手を止めて更新ボタンをクリックし続けてたんだけど、残念ながら三振だった。

でも、シリーズを通しても13打数8安打3本塁打8打点。打率は.615。
はっきり言ってありえない数字。
3割打てば一流と言われるスポーツで、いくら短期決戦とは言えその倍の打率を残したのだ。
それも世界最高峰の舞台で。
試合を決める1打、という見方をしても第2戦と今日の第6戦は彼のバットで勝った試合だった。
MVPは当たり前。

ネット上には松井を褒め称えるコメントが氾濫してるけど、「DHだったのが残念」「守備もしていれば満点だった」「DHや代打で打撃に専念していたのだから」というコメントもたくさん見かける。
でもそういう人は野球をやったことがないんだろうな。
DHや代打が、どれほど難しいか。
野球やってりゃわかることだけど、攻撃と守備のリズムは繋がっている。
守備でいいプレーをすれば打撃にも好影響があるし、守備の時間が長ければ攻撃のリズムが狂ってしまうことが多い。
ただ、どちらにせよその試合のリズムに乗って打席に立てる。

でも、DHや代打は、その試合のリズムに乗ることができないのだ。
守備につかない彼らは、そのリズムを外から見ていることしかできない。
前のイニングからの攻撃の流れが、守備の時にバツンと切れてしまう。

いくら「ベンチ一丸で戦う」「ベンチに居ても試合に出ているつもりで見ている」と言っても、
実際に試合に出ているのとは全然感覚が違うのだ。
よっぽど守備が苦手な選手か、怪我や年齢でよほど体が弱っている選手でもない限り、
守備についている方が打ちやすいはずだ。

そんな中でポンと打席に立ってヒットやホームランを打つのがどれほど難しいことか。
それで6割を超える打率を残すなんて、想像を絶する。
いくら打席数が少ないからと言っても、13打席も立っているのだ。2〜3打席の話ではない。
まぐれや勢いだけで残せる結果ではないと思う。


確かに守備にもついて欲しかったな、とは思う。
でもそれは彼が決めたことではなく、チームの(監督の)決定。
彼は守備も好きだし守りたかったと思う。
でも、チームから与えられた役割の中でそれをきっちり以上にこなしたことは賞賛こそすれ、
非難すべきことではないだろう。


帰って来てスポーツニュースで全打席のリプレイを見た。
ホームランを打った1打席目、2死満塁から2点タイムリーを打った2打席目、
あわやホームランという2塁打を打った3打席目よりも、僕は三振した4打席目で鳥肌が立った。
打席に立った彼に対し、スタジアムを埋めたホームのファンから「MVPコール」が起きたのだ。
全ての試合を見てきたわけじゃないし、特にメジャーのことは詳しくないんだけど、
少なくとも僕はそんな声援は聞いたことがない。
誰の目から見てもこの6試合を通して、ヤンキースの勝利に最も貢献したのは松井だと、
ニューヨークのファンが認めたのだ。
思わず、正座して見てしまった。(笑)


そんなわけで、小中高9年間野球をやって丸1年しかレギュラーになれなかった僕が言うのもおこがましいんだけど、松井秀喜はすごかった。
シーズン途中の失速とか、来シーズンのこととか、そんなのは今日はもうええやん。
彼がメジャーに移籍した時の思いとか、普段の彼の努力とか、そんなのも全部横に置いといていい。
ただひたすらに、松井秀喜はすごかった。

今日の彼を表わす言葉は、その一言で十分だ。


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