日々あんだら
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2008年01月12日(土) 『クチル』




「廃墟写真」というジャンルがある。
僕はそのジャンルの写真が嫌いだ。

そこにどんな人が暮らしていたのか。
どんな思いを抱いていたのか。
なぜその場所は棄てられたのか。

なにも知らない人間が土足で入ってそこを荒らしていく。
幸か不幸か、だいたいの廃墟はフォトジェニックだ。
そしてそれが写真集やネット上で賞賛される。

僕はそんな写真が大嫌いだ。





かつて、曾祖父母が暮らしていた家がある。
彼らが去って以来、25年もの間放置されていた家だ。

家は、そこに住む人がいて初めて呼吸をする。
誰も住まない家は、眠っているのか、死んでいるのか。
どちらかはわからないけど、生きていないことだけは確かだ。
床に積もる埃よりも遅いスピードで、でも確実に朽ちて行く。


朽ち果ててしまう前に写真に残したかった。
この家が生きていた頃を覚えている僕になら撮れると思ったし、撮らないといけないと思った。


正直に言うと、この写真のできに満足しているわけじゃない。
情けない話だけど、少し腰が引けていた。
いろんな意味で重かったし怖かった。
まだこの家のほんの一部しか写せていない気がする。


なので、これは『クチル』第一弾です。


http://underline.under.jp/photo.html


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