日々あんだら
DiaryINDEX|past|will
「廃墟写真」というジャンルがある。 僕はそのジャンルの写真が嫌いだ。
そこにどんな人が暮らしていたのか。 どんな思いを抱いていたのか。 なぜその場所は棄てられたのか。
なにも知らない人間が土足で入ってそこを荒らしていく。 幸か不幸か、だいたいの廃墟はフォトジェニックだ。 そしてそれが写真集やネット上で賞賛される。
僕はそんな写真が大嫌いだ。
*
かつて、曾祖父母が暮らしていた家がある。 彼らが去って以来、25年もの間放置されていた家だ。
家は、そこに住む人がいて初めて呼吸をする。 誰も住まない家は、眠っているのか、死んでいるのか。 どちらかはわからないけど、生きていないことだけは確かだ。 床に積もる埃よりも遅いスピードで、でも確実に朽ちて行く。
朽ち果ててしまう前に写真に残したかった。 この家が生きていた頃を覚えている僕になら撮れると思ったし、撮らないといけないと思った。
正直に言うと、この写真のできに満足しているわけじゃない。 情けない話だけど、少し腰が引けていた。 いろんな意味で重かったし怖かった。 まだこの家のほんの一部しか写せていない気がする。
なので、これは『クチル』第一弾です。
http://underline.under.jp/photo.html
|