日々あんだら
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2005年07月04日(月) α-7Digitalの総合評価 by hide(1)




去年の12月18日にα-7Digital(以下α-7D)を購入して以来、半年が過ぎた。
その間に僕の手元に来たα-7Dは通算5台。撮った枚数は合計で約15,000枚を数える。
今までこの日記でα-7Dの問題点をいろいろと取り上げて来たが、今回一度総まとめということで、
僕なりのα-7D論を3回くらいに分けて書いておきたいと思う。(あくまで現時点での評価)
悪いことばっかり書いててもフェアじゃないし、トータルでは不満もたくさんあるものの気に入って使ってるし、
他のデジタル一眼には変えられないなぁと思っているのだ。

ただし、どれもあくまで僕の経験に基くものだということはご了承いただきたい。
また、画質やデザインや感触など、主観的な項目に関してはあくまで僕の好みの話になるのでそちらもご了承願います。


ではまず第一に、なぜ僕の手元に通算で5台ものα-7Dが来たのかを説明しておかなくてはならない。
簡単にまとめると、以下の通りである。
・1台目:AF不良およびAE不安定で返品交換
・2台目:AF不良およびAE不安定で返品交換
・3台目:AF不良およびAE不安定で返品交換
・4台目:メニュー内バグおよび背面液晶不具合で返品交換

1〜3台目のAFに関しては、メーカー側のチェックでは「正常」とのことだったが、僕の使用した感想では明らかに「不良」レベルである。
以前この日記にこのカメラを使用したAFテスト結果を載せたことがあるが、あれは3台目を使ってのテスト。
しかし1〜2台目も使っている実感としては同じ程度のAF性能だった。
なお、4〜5台目はピントの甘さは残るものの、最初の3台に比べると「ピントが合う」と言えるくらいのレベルになっている。
(これにより、1〜3台目のAF性能がα-7Dというカメラの限界なのではなく、単なる個体差=製作不良であるということがわかった)

AEについては「不安定」という標記をしているが、これは多分割測光時に逆光もしくは画面内の輝度差が大きい構図で撮ろうとした際、AEが非常に大きな幅(僕の経験では最大4EVほど)で狂うというもの。
AEロックが効かないMF時では、三脚などで構図を固定していてもファインダーの中の露出値表示がチラチラとものすごい勢いで変化して、いつシャッターを押せばいいのかわからないほどであった。
ただ、「不良」と書かないのはどうやらこれがα-7DのAEの限界らしいので。
メーカーによるテストでも、光線の状態などによっては同じ症状がでたらしい。
よって、α-7Dは「多分割測光時に逆光などで撮ると、場合によってはAEが非常に不安定になるカメラ」だと言える。
なお、中央重点測光にするとこの症状はほとんど出ないので、僕は最近は常に中央重点測光で使用している。

4台目に発生した「メニュー内バグ」というのは、「メニューのショートカット」機能が働かないというもの。
僕はいつも「ISO感度の設定」をショートカットに登録して、ワンタッチで呼び出せるようにしてるのだが、
何度セットしても電源を切ると登録が解除されてしまうというもの。
他の4台ではこういう症状は出てないし、ヨドバシのデモ機でこっそり試してみたが、2台とも正常だった。
(これは明らかにバグだと思う)

また、「背面液晶の不具合」というのは、背面液晶が上から下へ波打つようにちらつくというもの。
電源を入れた直後は目立たないが、しばらく使っていると顕著になってくるようだ。
ちなみにこの症状は出方は少々違うものの、今手元にある5台目でも出ており、
もう面倒くさいのでそのまま使っているが、気になり始めると気になって仕方がない。(笑)
返却した4台目でこの症状はメーカーでも確認されたが、「原因不明、対策不可」との回答が帰ってきた。
向こうで調べた他の数台の中でもそういう症状が出ている固体があるらしく、また他のユーザーからもそういうクレームが何件か入っているそうだ。
(背面液晶とはこういうものなのか、他メーカーのデジカメは使ったことがないのでよくわからない。)


ということで今僕の手元には5台目のα-7Dがあるのだが、とりあえずAFは最初の3台に比べてマシだし、
AEは中央重点にしとけば安定してるし、背面液晶のちらつき以外は特に悪いところが(今のところ)見当たらないので、しばらくこのまま使おうと思っている。


ということで、α-7Dの総合評価 by hideの本題に入りたいと思う。

<1.品質管理>
上の話を見てくれてもわかると思うが、近代日本の工業製品としては考えられないくらいの品質管理である。
特に2台目3台目は「きちんとチェックしてから送ってください」とお願いしていたにも関わらず、である。
定められた基準にのっとってチェックはしていると思うのだが、その結果がこれではそのチェック方法の基準自体に改善の必要があると言わざるを得ない。


<2.AF性能>
最初の3台のAFに関しては「不良」と断定して(メーカーは認めたがらないかもしれないが)、この項目の評価基準からは外す。
4台目5台目を基準にしての話である。
(ただし、AF一眼レフは今まで銀塩のα-7で60本ほど撮ったことがあるくらいで、
僕の中にAF性能に対する明確な評価軸があるわけではないことを先にお断りしておく)

一言で言うと、AF性能はそれほど高くない。
僕はもっとも精度の高い中央のセンサーしか使っていないが、「ピントが合わない」とまでは言わないが「ピントが甘い」と言わざるを得ない。
多分L判くらいの大きさで見るには気にならないが、パソコンモニターで見ると気になる程度の甘さである。
また、α-7Dは背面液晶での拡大再生が容易で倍率もそこそこ大きいのでいつもチェックしてしまうのだが、拡大再生すると「甘いなぁ」と思ってしまう。
もちろんその場の条件や使い方にもよるとは思うのだが、少なくとも「甘い」と感じることは多い。

また、AFスピードも遅い。
少なくともデモ機で触ったEOS-20DやE-1と比べると雲泥の差である。
20Dはホント半押しした瞬間にピッと合う感じだ。
E-1も20Dほど速くはないものの、迷わずスッと合う感じだ。

ただ、僕は基本的にMFで撮る人間なので、AF性能に関しては実用上それほど大きな欠点ではない。
薄暗がりだとMFよりAFの方がヒット率が高いので、そういう場面ではAFを使っているが、
それより明るかったらMFだし、もっと暗くなってしまえば距離目測で撮っている。
(本当に暗いところだと、目測が一番合う。笑)

しかし、20年前にα-7000でAFを一般的に定着させ、α-7で世界最速AFを謳ったメーカーの作るカメラとしては
淋しいことこのうえない。


なお、AF性能のイマイチなことについては一部のプロや多くのアマチュアカメラマンがWEB上で同様のことを言っているので探してみてほしい。
カメラ雑誌等はメーカーに気を使ってあまり悪いことは書かないが、少なくとも「AF性能がいい」という評価は目にしたことがない。


<3.ファインダー>
AF性能があまりよくないことをなんとかカバーしているのがこのファインダーである。
ミノルタお得意のスフェリカルアキュートマットで、ファインダーの明るさとピントの山の掴みやすさを両立している。
(もちろんファインダー倍率が低い分、銀塩α-7よりは見にくいんだけど)

20万クラス以下のデジタル一眼で、これと同等もしくはそれ以上なファインダーを持つのは、
ペンタックスの*ist D系とオリンパスE-1くらいである。
10Dよりは良くなったらしいが20DもまだまだMFで使うにはしんどいし、
キスデジ(Nも含む)やD70(sも含む)、E-300などはMFで使うことを前提としていないとしか思えないような
プアなファインダーだ。

このファインダーはα-7Dの大きなアドバンテージだと思う。
これで銀塩一眼並みにファインダー倍率が高ければホント文句はないんだけど。。




てことで、続きはまた明日。


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