泊まりがけの勤務を終えて帰宅した我が家はたいへんなことになっていた。
柔軟剤を使って洗った衣服が部屋干しされていて、強烈な刺激臭に部屋が包まれていたのである。なんということか。オレは頭痛に襲われて、妻に「アホかおまえは!」と叫び、寒い中窓を全開にさせた。なんでこんなひどいことができるのか。オレは化学物質過敏症で、そんな危険な衣服を身につけてしまうとひどい湿疹が出て、回復するのに何ヶ月もかかるのである。これまで何度も言ってきたことがどうしてわからないのか。
医療用洗剤のアレルギーは、当事者ではない人には絶対にわかってもらえない。だからテレビでは無神経にCMを流し続けるし、その問題点はおそらく広告会社からの圧力なのかわざと伏せられている。アトピー性皮膚炎に悩む子どもの中には衣料用洗剤が原因のものが多数あるはずなのに、その原因は放置したまま医師は大量のステロイド剤を処方して金儲けしか考えてない。被害に遭う子どもは本当にかわいそうだが、親もまたそのことに対して無知なことが多いのである。オレの息子も同じように刺激に弱い。幼稚園のポロシャツが漂白された結果、ひどい湿疹ができたことでオレは洗濯した母に文句を言ったことがある。「だったら汚れたまま着せるのか?」という頓珍漢な答えが返ってきた。問題の次元が違うだろ。
オレが臭いに抗議しても、家人たちはきょとんとしていることが多い。オレは常人の何倍も嗅覚がすぐれている。妻が部屋で放屁した1時間後であっても匂いを感知して「おまえ、屁こいたやろ!」と指摘できるのだ。だから妻は冬場はこたつの中に放屁することにしているらしい。
職場で喫煙者とエレベーターで一緒になることが苦痛だ。だからオレはエレベーターには乗らないのである。喫煙者は自分の肉体にしみついたタバコのにおいに対して鈍感である。汗臭いオッサンも本当に苦手だ。もちろん汗臭い若者も苦手だ。オレが登山をしていて一番苦手だったのは、山から下りてくる饐えた臭気を発する一団だった。上高地で売店に入ると、これから登る人と下山してきた人をオレは匂いだけで判別可能である。
オレが自動車通勤していることには理由がある。電車通勤の場合、ラッシュアワーで臭い人間に密着されたくないからである。だから混雑を敢えて避けて行動することが多い。最寄り駅から電車に乗るとき、混雑する準急を避けて各駅停車に乗ることが普通だ。たかだか10分ほどのために嫌なものを我慢したくないのである。空いている電車なら臭い人間に遭遇しても移動したらいいだけである。クルマには無臭性の消臭剤を使っている。その上で脱臭剤を定期的に交換している。定期的に洗車してワックスがけするだけではなく、車内清掃も完璧にしている。
そういうことを書いたら、まるでオレは病的な潔癖症のオッサンだと勘違いされそうだが。ただオレは自分の健康のためにそうした行動を取ってるのである。香害反対!それだけがオレの主張である。
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