2023年02月17日(金) |
『はだしのゲン』は戦争文学の頂点 |
携帯用URL
| |
|
広島市教育委員会が平和学習の教材から『はだしのゲン』を削除することが話題になっている。オレはあの作品は世界に誇るべき戦争文学だと思ってるし、すべての国民が小学生のうちに触れるべき大切な平和教材だと思っている。原爆の被害の悲惨さだけではなく、その前後の社会状況を描き、朝鮮人・中国人への差別や戦争の不条理さを描き、米兵による性加害を訴えているきわめて政治的主張の強い作品だ。だからこそこの作品をすべての日本人は読むべきなのだ。
『はだしのゲン』を読ませたくないのは誰か。それは防衛費を増やし、戦争に突き進もうとしている政府与党の連中であり。その与党を支える統一教会や公明党というカルト勢力である。そんな連中の圧力に屈して教材を変更してしまう広島県教育委員会はクソだ。こいつらには矜持というものがないのだろうか。
戦争文学の頂点として世界中で翻訳され読まれている『はだしのゲン』の作者、中沢啓治にはノーベル文学賞が授与されるべきであったとオレは思っている。口だけで「核廃絶」を唱えたオバマ元大統領よりも、はるかにその果たした役割は大きいからだ。どうして日本はその価値を正当に評価しないのか。
「少年ジャンプ」に当初連載されていた『はだしのゲン』は、連載を終えた直後は単行本が発売されなかった。これは当時の集英社が「人気上位の作品以外は単行本化しない」という方針だったからだと言われている。その結果として集英社は世界で売れるこの作品価値を見誤っていたのである。
作品の中に貫かれた平和主義や、戦争を起こした者達への怒りというものは為政者にとって都合の悪いものであった。元A級戦犯だった岸信介が首相となり、その子孫達もまた自民党中枢に居続けて党を支えてきた中にあって、『はだしのゲン』のような政治色の強い作品はじゃまだったということは容易に想像できる。この作品を否定したのはいわゆる「ネトウヨ」と呼ばれる人達だが、その背後には実は統一教会が存在し、日本人の富を搾取して韓国の教団本部に貢ぐという売国どもが実は共産党や旧社会党という左翼勢力を敵視し、その対象としてこのような作品をやり玉に挙げたということは事実である。
『はだしのゲン』批判者は作品の中で日本兵が中国で行った残虐行為とされるものが通州事件などの中国兵の行為であるという指摘をする。妊婦の腹を銃剣で突き刺すなどの蛮行を日本兵はしないと言いたいのだろう。しかし、仮にそれを否定したところで、多くの日本兵が中国で住民虐殺などの行為を行ったこと自体は否定できない。それはウクライナで今ロシア兵が起こしている戦争犯罪や、ベトナム戦争で韓国兵が起こした戦争犯罪と同じく、戦争が持つ加害性の一つの象徴であるからだ。日本兵だけが「規律正しい正義の軍隊」であったわけがないのである。昭和3年生まれの父は、帰還兵達から戦場での多くの残虐行為のことを聞かされたという。終戦を上海で迎えた伯父は戦争に関しては全く語らなかった。ただ、自分が無事に日本に帰国できたことを「以徳報怨(徳を以て怨に報ゆ)」と蒋介石に感謝していた。
日本をアメリカの属国として戦争できる国にしたい勢力は、『はだしのゲン』のような反戦文学を嫌い、その存在を隠したいのである。だからいちゃもんを付けて図書館から追放しようとする。それはどれだけ間違ったことだろうか。
「核廃絶」は不可能な夢かも知れない。しかし「核廃絶」を願うことは我々日本人にとって大切な目標では無いのか。広島長崎での同胞達の死を決して無駄にしないと誓うことが、世界に平和をもたらすために大切なことでは無いのか。
プーチンは侵略者だ。しかし。ロシアの民はその犠牲者であり、連帯できる仲間だとオレは思っている。大阪における維新の会もある意味侵略者だが、洗脳された信者達は被害者だと思うのと同じである。
我々日本人には『はだしのゲン』を戦争文学の一つとして理解し、「核廃絶」を願う義務があるのだ。真に平和を希求する国であることを世界に訴えなければならない。敵基地攻撃能力に浮かれる馬鹿どもの目を覚まさせないといけないのである。
←1位を目指しています。
前の日記 後の日記