2023年01月30日(月) |
水から石油を作るのだ! |
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戦争中の日本は物資が不足した。中でも足りないモノは石油であった。だからとんでもない詐欺師が登場したのである。その詐欺師は「水から石油が作れる」という触れ込みで海軍に売り込んで来たのであった。あの山本五十六も騙されそうになったのである。
昭和13年12月末、とある化学メーカーの蒲田工場で、大西瀧治郎大佐などが立会って「水からガソリン」の実験が行われ、海軍首脳も見学に訪れる。深夜になって水は見事にガソリンとなり、年明けに海軍大臣官邸で正式な実証実験が行われることが決まる。それは実は巧妙にすり替えられたものだったのである。
うまく騙して海軍から出資させてトンズラするのが詐欺師達の目的である。翌14年には実証実験が開始されたが9日経ってもガソリンはできなかった。結局のところその詐欺師達は逮捕されたというのがこの事件の顛末である。
大阪市、大阪府、大阪商工会議所は1月10日、水と大気中のCO2等から生成する人工石油(合成燃料)を活用した実証実験を支援しますと発表した。これを実施するのは、サステイナブルエネルギー開発株式会社という企業である。
その製造方法だが、特殊な光触媒を用いて、水と大気中のCO2からラジカル水(化学反応を起こしやすい活性化水)を作り、ラジカル水に大気中のCO2と種油(軽油、重油、灯油など)を反応させることで、種油と同じ組成である合成燃料を連続的に生成することができるということらしい。(種油は、初回のみ鋳型として使用するだけで、2回目以降は、合成燃料を種油の代わりとして使用できる。)
この事業にいったいいくらの補助金が使われるのだろうか。オレにはこれは「トンデモ科学」の類にしか思えないのである。
水と二酸化炭素と光からエネルギーを作り出すのはいわゆる「光合成」である。人工光合成の研究をしている大学は日本にもある。しかし、今回の補助金の対象になっている事業はどうもそういうものでもないようである。いったいどのような仕組みなのか。オレはここにうさんくささを感じるのだ。
補助金事業と言えば、大阪ワクチンである。株券印刷業(実際にはまともな事業活動をせずに新株を発行をしてそれを売ってシノギにしている詐欺会社)で名高いアンジェスという創薬ベンチャーの会社があるが、2020年に新型コロナウイルスのワクチンを開発するという触れ込みで国からの補助金が100億円近くつぎ込まれた。しかしアンジェスは治験終了を発表し、結局何も作れなかったのである。その金はどんな使われ方をしたのだろうか。吉村知事が「年内には生産開始」などと語ったせいでアンジェス株は急騰したがその後暴落し、治験終了後には株価は高値から1/10程度まで値下がりしたのである。この株を高値の時に売り抜けることができればかなりのゼニを手に入れたはずである。インサイダー取引の香りがプンプンするのだが、証券取引等監視員会はこの件に関しては何の調査もしていないようだ。もしも同様のことがアメリカで起きたなら、関係者は全員逮捕、吉村知事は「風説の流布」で罰金1億ドル、もしくは懲役50年とかになっているだろう。日本は金融犯罪に関して甘すぎるのである。「お咎めなし」なんてほんまにありえないことである。
サステイナブルエネルギー開発株式会社の事業の中にはまともなものもあるのだろう。しかし、この「水と空気から石油」というのはかなり怪しい。自治体はこういうのに騙されてはダメだ。「ラジカル重合」の原理で連続的に反応が起きるとしても、高温高圧にするには別のエネルギーを必要とするわけで、投入したエネルギー以上のものを取り出せるとは思えないのである。
日程が5年1月11日〜17日とあったのですでにこの実験は終了しているのだが、どのような結果に終わったのか、どんな成果があったのか、そしてどれだけゼニが掛かったのかをきちんと明らかにしてもらいたいのである。
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