原発に関して、絶対に新聞などで報道されることがない真実が一つある。それは日本にある原発の中にEUの安全基準を満たしている原発が一基もないということである。危険な地震国なのに、安全基準はEUよりもはるかに劣っているのが日本の原発なのである。その事実をマスコミは一度も伝えたことがなかった。そんなことを報道すれば広告がもらえなくなるからである。
EUの原発は、事故を起こしたときにメルトダウンした炉心部分を安全に保存するための装置、コアキャッチャーが装備されている。これがないと安全基準に適合しないからである。既存の原発に後付けで装備することはできない。建設時に装備することになるが、そのために建設費が莫大になるために日本の原発は装備しなかったのである。建設中の青森県の大間原発にも装備されていない。東日本大震災で福島第一原発がメルトダウンしたことを何の教訓にもしていないのである。
そうした国の「安全性軽視」の政策が、福島第一原発の事故につながったとオレは思っている。外部電源が失われる危険性が指摘されていたにも関わらず、津波への安全対策は行われなかったのである。東京電力にその不備を指摘して運転停止を命じることは国の責務だったのではないか。
福島第一原発の事故で故郷を追われて避難している人が、国の事故責任を追及して訴えた裁判で、最高裁は国の責任を認めないという判決を下した。想定外の大きな津波が来たから事故は避けられなかったという判断である。
最高裁の裁判官たちは政府に忖度して「国に責任はない」というクソ判決を出したわけだが、この判決をそのまま受け取れば、すべての責任は電力会社側にあるということになる。今後、地震などの災害でどんな大きな被害が出てもすべて「想定外だった」と国は主張できるわけだ。そんなリスクの大きな事業を今後電力会社が単独で行うことはできなくなる。
東日本大震災のような巨大地震が来ればもう事故は避けられないということになれば、地震国である日本では今後永久に原発を作ってはならないということになる。今存在する原発もすべて停止するしかなくなる。だって地震国なんだから仕方がないのである。
何の落ち度もない人が突然家に帰れなくなるのである。「原発の近くに住んでるおまえが悪い」と言われるのかも知れない。安全性が担保されていないのである。「想定外の地震が来ればオレは関係ねえよ」というのが今回の判決なのだ。ふざけるのもいいかげんにしろよと思うのである。
もしも日本政府が原発をこれからも維持したいと思ってるのならば、この裁判では国の責任を認めるべきだった。必要な安全対策を示し、「こうすれば事故は防げた」と避難者に謝罪すべきだったのだ。そうすれば今後も安全対策さえきちんとすることで原発を維持できるのである。しかし最高裁は「東電に必要な措置を講じさせていたとしても、今回の事故は避けられなかった可能性が高い」と結論づけてしまったのである。
避けられない事故が起きる以上、日本ではもう原発は使えないということである。日本中の全ての原発が「想定外の地震が起きれば壊れるかも知れない」というリスクが存在する。国の政策を守ったつもりが、とんだ勘違いだったということである。ろくに原発のことがわかってない裁判官にこんなことを判断する能力もないのだが。
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