2021年06月23日(水) |
スポーツカーからの逃亡 |
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ダイハツ・ロッキーに乗り始めてから1年半となる。走行距離はもうすでに2万5000キロをこえた。日々の通勤に乗ってるので順調に走行距離を重ねてるのである。市街地の信号の多いところを中心に走るので、燃費は前のS660(6MT)の時に比較するとかなり悪くなって14.5/L程度である。1000CCの割にはよくないかも知れないが、車重が1トン程度ならこんなものかもしれない。
自分と同じロッキーや、兄弟車のライズに遭遇することも増えた。自分が感じてる運転しやすさとか取り回しの便利さを思えば、売れることも当然で仲間が増えていくのも必然的なことだろう。
ただ、これまでの自分は常に「売れないクルマを所有する」ということを心掛けてきたのである。自分の趣味は世間の多数派と対極にあったのである。だから日産EXAとか三菱FTOというマイナーなクルマを所有したのだし、ホンダS660という非実用車を買ったのだ。
その自分が、大衆の多数派の側に回ったということはなんだか複雑な気分である。ついに自分はポリシーを捨て去ったのかとも思うし、なんだか変節漢になったような居心地の悪さを覚えるのだ。街でマツダロードスターやS660、コペンやトヨタ86に乗ってる方を見ると、自分が裏切り者であるような後ろめたさを覚えるのである。
だからといってスポーツカーに回帰するかというとそういうわけでもない。一年以上運転しやすい小型SUVに乗ったせいで、車をゆっくりと走らせることに慣れてしまったのである。超安全運転派になった以上、かつての硬派な走りには戻れないのだ。すっかり腕がなまってしまったような気分なのである。
そしてかつての自分を思うのだ。どうして自分はあんなに運転しにくい面倒なものを愛していたのだろうか。どうしてMT車にこだわっていたのか。どうしてナビを装着しなかったのか。それはまるで、性悪女であることを知りながら別れることができなかった愚かな男の回顧のような気分なのだ。
これから先、レンタカーで借りて乗るようなことはあるかも知れないが、自分のファーストカーとして2ドアクーペを所有することはもうないだろう。いずれ自動運転の時代や電動車の時代が来る。スポーツカーを所有する者には高額な税金がかけられたり、乗ってると石を投げられるような迫害の時代がやってくるかも知れない。そうしたリスクからいち早く逃亡したのだと言えないこともない。それは実際のことで、FTOを手放す前には懲罰的な高額な税金がかけられていたことを思い出す。12年超の車ということで通常の自動車税よりも3000円ほど高い税金が課せられていたのである。ひどい話である。
かつての若者は就職と同時に安価なスポーツカーをローンで買った。そうして手軽に買えるようなクルマがかつての日本市場にはあふれていた。かつてのレビン、トレノやファミリアXGターボ、ホンダCR−Xなどはかなり安かった。
世の中の価値観が変わり、自分のような逃亡者も増え、結果的に自動車産業はこれからも衰退していくだろう。今から50年後には生き残ってる自動車メーカーはトヨタ、ホンダの二社くらいかも知れない。そうした未来を見届けることができないのが少し残念なことなのだが。
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